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特集・コラム [ 蟹瀬誠一コラム ]

蟹瀬誠一の人生を豊かにするおすすめの2冊

ビジネスで成功するために必要なことは何でしょうか。営業ノウハウやマネジメント能力などのビジネススキルが大事なことはもちろんですが、小手先のスキルだけでなく、根底に流れる歴史観、コミュニケーション能力を築き上げていくことも、同時に求められるはずです。今回、取り上げる2冊は、こうしたビジネスの底力を養うのに役立つ本ともいえるでしょう。

 

歴史観を持とう
「日本人としてこれだけは学んでおきたい政治の授業」 屋山太郎著

 
本表紙
歴史の授業というと、何となく「ビジネス的には何の役にも立たない」ということで、傍流に追いやられがちな学問だが、実は私たちが日本人としてのアイデンティティを維持していくうえで、非常に重要だ。
ここ数年、日本は近隣諸国との間で、尖閣問題などの領土問題で揉めている。政治家の姿勢もどこかあやふやで、本当に領土と思っているのか、いまひとつ見えてこない。これはどうしたことなのだろう。
そんな疑問に応えてくれるのが本書だ。
執筆者の屋山太郎氏は、元時事通信社の記者で、保守の論客というイメージが強い方だ。本書の中身は、松下政経塾の塾生を対象にして行われた講義の内容に加筆・修正を加えたものであり、非常に平易に読み進めていくことができる。
ただ、そのなかで氏が言っていることの意味は非常に深い。今も、日本はTPP問題で揺れているが、どうして政治家の判断はこうも大きくぶれるのだろうか。特に民主党政権になってから、最初に首相を務めた鳩山氏にしても、幾度となく発言の撤回が行われ、国民も含めてそれに大きく振り回されてきた。管政権に代わってからも、東北大震災とそれに伴う原発事故の対応で、政治の不在ぶりを国民の前に露呈した。
経済的にも、デフレが一向に解消せず、円高圧力も止まらない。それに対して、何ら有効な手立てを打つことができないのはなぜか。
政治に対するさまざまな疑問、疑念が浮かんでくるが、今の政治の迷走の背景に、歴史観の欠如があるのは、どうも間違いのないところのようだ。こうしたことを、本書はさまざまな確度から検証してくれる。
もっとも、歴史観が欠如しているのは、何もこの国の政治家だけではあるまい。私たちも、果たしてどこまで自分の国のことを知っているのかと言われると、やや心許ないところがある。
この世の中のさまざまな出来事は、ある時、突発的に生じるものではない。過去の積み重ねが、ひとつの事象を形作っていく。その意味でも、歴史観を持つことは誰にとっても必要なことなのだ。
 

コミュニケーションツールとしての文章能力を磨く方法
「文章は書く前に8割決まる」 上坂徹著

 
本表紙
著者の上坂徹氏は、数多くのビジネス書を書いているプロのライター。本書は文章のプロになるための書というよりも、ビジネスパースンとして必要な文章のノウハウを盛り込んだもので、プロの文筆家ではないけれども、仕事をするうえで文章を書く必要がある人たちにとって参考になる内容だ。
実際、仕事を進めていくうえで、文章を書くということは必要不可欠だ。あいさつ文に始まり、御礼状、企画書、報告書など、さまざまなシーンで文章を書く場面に直面することがあると思うが、多くのビジネスパースンは、どうやったら相手に真意が伝わる文章を書くことができるのかということで思い悩んでしまう。特に近年、ツイッターやフェイスブックなどのSNSが注目され、ビジネスシーンでも活用されるに伴って、文章を書くという機会が増えているが、この手のツール上で展開されている文章は、ツイッターが140文字を限度としていることからも分かるように、その多くが、事実を断片的に記した短文である。そこでは、読む人に対して心の機微を伝えられるような、物語性の高い文章はあまり求められない。
しかし、自分が考えているビジネスプランを分かりやすく相手に伝える場合は、やはりきちっと理論構築され、読んだ相手が納得するような文章を書く必要がある。そこで多くの人は、筆が止まってしまう。
文章を上達させるためには、日頃から良い文章に触れている必要があることに加え、やはり実際に「書く」という行為を重ねていくしかない。それに加え、本書にもあるように、文章を書く前にいかに読む側のことを考え、相手に真意や熱意が伝わるように意識するか、ということが求められる。
文章は、会話とともに大事なコミュニケーションツールだ。上手な文章を書けるビジネスパースンになることが、ビジネスを成功に導く第一歩になる。それが十分に伝わる内容になっている。
掲載日:2012年月01月26日

プロフィール
蟹瀬誠一(かにせ せいいち)氏プロフィール
明治大学国際日本学部長
元スーパーモーニングニュースキャスター
米AP通信社記者、仏AFP通信社記者、米『TIME』誌特派員を経て、91年にTBS『報道特集』キャスターとして日本のテレビ報道界に転身。 文化放送「蟹瀬誠一、ネクスト」のパーソナリティ、『経済討論バトル頂上決戦』 (朝日ニュースター)『賢者の選択』(BS朝日) 『地球感動配達人 走れ!ポストマン』(TBS)などのキャスター・レギュラーコメンテーターを務め、カンボジアに小学校を建設するボランティア活動や環境NPO理事としても活躍。2004年から明治大学文学部教授、2008年から同大学国際日本学部長に就任。

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