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特集・コラム [ 蟹瀬誠一コラム ]

蟹瀬誠一のキャリア塾 第10回

「定年後を考える」

蟹瀬誠一氏 明治大学国際日本学部長
国際ジャーナリスト 
蟹瀬誠一氏
先般、厚生労働省が厚生年金の支給開始年齢を、将来的に68歳以降にするという案を提示した。現状、企業勤めをしている人の定年は、60歳前後というのが最も多いだろう。となると、定年の年齢が引き上げられなければ、60歳から68歳までが無収入期間になってしまう。
したがって、現役時代から何かしらの対策を講じておく必要がある。
まずは、とても現実的な方法だが、しっかりとお金を貯めること。定年後、たとえば90歳まで生き食べるのに困らないだけのお金を作る必要がある。それこそ3食を2食に減らしてでも、ある程度の蓄財はするべきだろう。
次に、これが非常に大事なことなのだが、定年後も働けるようにしておくこと。もちろん、そのためには健康であることも大切だが、それとともに広い人脈を築いておくことを心がけておく必要がある。
再就職を望む人は少なくないだろうが、普通に会社勤めをして定年を迎えてから再就職先を探そうとしても、なかなか希望する仕事は見つからないものだ。特に大企業勤めのホワイトカラーは、自分がそれまで働いてきた場所に対するプライドが邪魔をするせいか、ブルーカラーに近い仕事に就くことをよしとしないケースが多いと聞く。常に求人はあるのに、こうしたミスマッチが生じていて、結果的に再就職を困難にしてしまっている。
だからこそ、現役時代から人脈を広げておく必要があるのだ。そうすれば、さまざまなところから情報が入ってくるし、自分の大事な人脈からの紹介であれば、仕事の内容にしても、そう大きく外すことはない。
また定年後、自分が何をしたいのかということが明確に分かっている人は、それに関連したところに太い人脈を築いておくと良い。ちなみに私は昔から絵画を趣味としているが、それに近い人たちの人脈を築いた結果、時々ではあるが、美術展で話をする機会に恵まれることがある。美術書の翻訳をさせていただいたこともあった。人脈のお陰で、自分の趣味を仕事にすることができれば、これに勝る人生の楽しみはないだろう。
そしてもうひとつ、定年後の過ごし方で検討する価値があるものに、地方暮らしを挙げることができる。何しろ地方生活は生活コストを安く抑えることができる。今の生活クオリティを維持して、生活費を半分に抑えるということも、決して不可能ではない。もし、そこに仕事があるならば、地方暮らしも悪くはないはずだ。
こうした定年後の準備は、ある程度、早い時期から始めるに越したことはない。定年を迎えてから、何の準備もなしに、何かを始めようと思っても、実現は非常に困難だ。しっかりとした助走期間を設け、定年後にもう一段高く羽ばたくくらいのイメージを持って、現役時代から準備を進めておく必要がある。なかなか自分の定年後の生活をイメージするのは難しいだろうが、出来れば40歳くらいから、定年後を見据えた地均しをしておくべきだろう。
掲載日:2012年月01月12日

プロフィール
蟹瀬誠一(かにせ せいいち)氏プロフィール
明治大学国際日本学部長
元スーパーモーニングニュースキャスター

米AP通信社記者、仏AFP通信社記者、米『TIME』誌特派員を経て、91年にTBS『報道特集』キャスターとして日本のテレビ報道界に転身。
文化放送「蟹瀬誠一、ネクスト」のパーソナリティ、『経済討論バトル頂上決戦』 (朝日ニュースター)『賢者の選択』(BS朝日) 『地球感動配達人 走れ!ポストマン』(TBS)などのキャスター・レギュラーコメンテーターを務め、カンボジアに小学校を建設するボランティア活動や環境NPO理事としても活躍。
2004年から明治大学文学部教授、2008年から同大学国際日本学部長に就任。

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