特集・コラム [ マネーセミナー体験記 ]
「マネーセミナー体験記」の第7回目は、大阪証券取引所が9月28日、東京・大手町の「大手町サンケイプラザ」で開いた「金連動ETF入門セミナー」です。これまで個人投資家が金に投資する場合、金の地金を地金商から買ったり、金先物取引を行うなどの方法があったわけですが、大証が8月に上場した「金価格連動型上場投資信託(金連動ETF)」によって、証券会社を通じて簡単にできるようになりました。金の値上がりをじっくり待つ中長期投資から、信用取引による短期売買まで、金連動ETFを使うことで様々な投資ができるようです。
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日本初の金連動ETFに興味津々
- 大証が8月10日、金に連動する「金連動ETF」を上場しました。株式や不動産ではない金に連動するETFの上場は、日本で初めてのことです。今回のセミナーでは、この金連動ETFの仕組みや、金相場の分析の仕方について2部構成で説明がありました。
- 当日は若い女性から年配の男性まで85人が参加。質疑応答も活発で、新商品への関心の高さがうかがえました。

写真1 金連動ETFセミナーの様子
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証券口座でできる簡単な金投資、ETFならではの魅力も

写真2 野村アセットマネジメントの田畑邦一氏による説明
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第1部は、金連動ETFの仕組みについて、実際にETFを作った野村アセットマネジメントが説明を行いました。同社商品企画部の田畑邦一シニア・マネージャーは金連動ETFを作った狙いについて、「日本の投資家が金に投資することと同じような投資ができる機会を、証券口座で提供することです」と述べました【写真2】。伝統的な株式や債券以外にも、証券会社を通じて簡単に投資できる手段が増えるのは便利なことです。
- ETFと普通の投信を比べてみると、その使い勝手の良さが分かります【表参照】。投信は一般的にA投信ならA銀行、B投信ならB証券といった具合に販売会社が決まっていますが、取引所に上場しているETFなら、普通はどの証券会社からも売買できます。金連動ETFも60社近い証券会社で取り扱っていて、「手数料は各証券会社によって違い、ネット証券ではかなり割安です」(田畑氏)。
表 普通の投信とETFの違い
| 普通の投信 |
ETF |
●証券会社、銀行などの金融機関、郵便局で購入できる
●販売会社が決まっている |
●証券会社で購入できる
●原則、どの証券会社でも取り扱っている |
●値段は、注文の時には分からない
(株式の成行注文と同じ) |
●値段を指定して注文することも出来る
(株式と同じように取引できる) |
- 地金商の店頭で金を買う時には、値段はその日のうちに1回提示されたもので売買されます。しかし金連動ETFの場合、前場は9〜11時、後場は12時30分〜15時10分まで市場の価格で自由に取引できますから、好きな値段で買えるメリットがあります。売買単位も10口(約3万円)と小口です。
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論より証拠、値動きは金価格とほぼ同じ
- 金連動ETFは、「英ロンドンで取引されている金現物価格に連動するように作られています」(野村アセットの田畑氏)。そもそもロンドンの金現物はドル建てで取引されていますが、金連動ETFは為替の違いも換算して円建てとなっていますから、日本国内の他の金商品と似たような動きをする筈です。
- 論より証拠ということで、東京工業品取引所で取引されている金先物価格と比較したところ、「ほぼ連動した動きとなっています」(同)とのこと。チャートを見てみると、8月17日の急落局面などで安値などに微妙な違いがありますが、値動きはほぼ同じでした【図参照】。
図 金連動ETFと金先物価格の推移

※価格は1グラム/円
※金先物は8月28日まで2008年6月限、8月29日以降は2008年8月限
Active Manager、東京工業品取引所資料よりQUICK作成
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金連動ETFの特徴として、金先物よりも値幅がやや広いことが挙げられます。「高値・安値の近くで指し値注文を入れておけば、注文が成立する可能性も高いでしょう」(同)。ただ金先物、現物に限らず、金はもともと利息や配当を生まない現物資産です。そのため金連動ETFにも配当はつきませんので、ここは注意が必要です。一方で信託報酬が年率0.525%(税込み)ですから、普通の投信と比べて維持コストが低いというメリットがあります。
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金相場のトレンド、米国の「ドル」との関係が大事
- 第2部は「金がわかれば世界が見える」と題して、マーケット・ストラテジィ・インスティチュートの亀井幸一郎代表取締役が金相場の見方を講義しました【写真3】。亀井氏は最近の金相場が堅調な一因として、まさに金ETFが普及したことで買い需要が増えていることを挙げました。
- 金ETFの残高は世界中でいまや750トンもあるそうですが、「金価格が700ドルを超えてからも米国の金ETF残高は増えています」(同)。金価格が上昇すれば従来、インドなどの個人が換金売りをしていたわけですが、それも2006年からは止まっているということで「世界的に、金に対する相場観が変わってきました」(同)というのです。
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写真3 マーケット・ストラテジィ・インスティチュートの亀井幸一郎氏による金相場の説明
特に金相場を見る上で注意しなければならないのは、インフレ懸念や米国の通貨「ドル」との関係だそうです。一般的に、ドルが強い時には金が売られ、ドルが弱ければ金が買われます。その場合、ドルと円との関係ではなく、ユーロとの関係が特に重要なようです。現在は1ユーロ=1.41ドルを記録するなど、為替市場ではドル安・ユーロ高が進んでいますし、「米国が9月に0.50%の利下げをし、金融市場に360億ドルもの資金を供給していることは、ドル安要因となります。これは金にとって好材料です」(同)。
- 金が堅調な状況もよく分かりましたが、亀井さんは米国で投機筋のポジションが500トン近くに達していることには注意が必要とも指摘しました。通常、買いが膨らみ過ぎて金価格が下落する節目がこの500トンという水準だそうで、目先は自律的な調整が見込まれるとのことです。金連動ETFも当然、海外の金価格の影響を受けますから、幅広い視野でマーケットを見る必要がありそうです。
- 【執筆:MoneyLife 片平正二】
掲載日:2007年10月9日
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