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2月の投信資金流入額、ほぼ2年ぶりの6千億円突破

――ブラジルへの熱い関心続く。通貨選択型のほか、ブラジルの株式や債券ファンドにも資金流入。バークレイズはブラジル・レアルに強気見通し。日本株投信も”京都ご当地ファンド”の設定で久々の資金流入超過に。

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資金流出入額ランキング――2月の追加型株式投信(ETFを除く) 
ブラジル関連ファンドが流入額上位5本を占める。トップは「野村ブラジル・インフラ関連株投信」の約890億円。ご当地ファンドの「ダイワ・ニッポン応援ファンド−京都の志士達−」には360億円を超す資金が流入。
運用会社別ランキング――2月の残高・残高増減・資金流入額
野村アセットマネジメントと大和投資信託への資金流入額は1100億円以上。三菱UFJ投信は約880億円の資金を集めた。

資金流入額はほぼ2年振りの6千億円台の高水準に。ブラジルへの投資家の高い期待感は衰えず。運用通貨をブラジル・レアルに切り替える通貨選択型一辺倒ではなく、ブラジル株やブラジル債券ファンドにも食指が動く。資産分散型のバランスファンドへのニーズは依然低調。

ETFを除く追加型株式投資信託への2月の資金流入額は約6210億円だった。資金流入額が6千億円を超したのは2007年12月以来、ほぼ2年振りの出来事だ。前月の1月には株安や円急伸を受け、多くのファンドの運用成績が落ち込んだが(追加型株式投信の運用成績は1月に平均で3.7%の下落)、2月の資金流入額はその影響を受けなかった。金融市場では米サブプライムローン問題で痛んだ傷が徐々に癒えつつ、投信マーケットが“リカバリー・モード”に遷移する中、様子見だった投資家の投資スタンスもリスクを取って新たな資金を投信に振り向ける”アクティブ・モード”に変わってきたかのようだ。

このうち、毎月分配型ファンドには約5千3百億円の資金が流入。5千億円前後の高水準での安定した資金流入が続いている。この1月から源泉徴収ありの特定口座内を利用すると確定申告の手間無しに、株式投資信託の分配金と、株式投信や上場株式などの売却損(譲渡損)や配当金との間での損益通算が可能になった。投資家の根強い利回り志向に加え、普通分配金を含む損益通算が可能になり税制面での利便性が増したことから(特別分配は損益通算の対象外)、毎月分配型ファンドへの投資家ニーズが高い状況は続きそうだ。ただし分配金はあくまで運用成果の投資家への還元であり、その原資は基準価額の外にあるのではなく、基準価額を取り崩して払うものであることには留意したい。

投資信託を主な投資先で分類区分し、分類ごとに資金流入額を集計すると、唯一、資金流出した分類は複数資産に投資する資産分散型のバランスファンド。多くの投資家は資産配分比率に大なり小なり偏りがあっても、資産配分を自分自身でカスタマイズする“My Own バランスファンド”で資産運用し、自分の判断で資産の一部や余裕資金を随時有望なファンドに切り替えていく投資スタイルを取っているのが実情とみられる。若い世代の間では運用コストや売買手数料が格安のインデックスファンドやETFを組み合わせて、少額での資産運用をスタートする動きも活発化してきた。

リスクを軽減しながらより高めのリターンを狙う資産分散の有効性に投資家が疑問を持っているというよりは、どちらかと言えば“My Own バランスファンド”の浸透により、レディメイドでパッケージ化されたバランスファンドへのニーズが下がってきた可能性がある。ただし”有望“と判断したファンドが期待はずれに終わったり、ファンドの投資・切り替えタイミング次第では投資家の損益に落差が生じるのはつきもの。有望な資産を事前に予想するのは困難であり、運用成績の好不調が月日と共にコロコロ入れ替わる。その点で、あらかじめ決められた資産を基本配分比率に従って随時リバランス(配分調整)していく、レディメイド型のバランスファンド1本に任せた方が結局、後から振り返ると投資家の収益全体としては勝っていたということは起こりえる。

主に米ドルの資産に投資し、実質的な運用通貨を投資家が選択した通貨に切り替える“通貨選択型”ファンドの新規設定も引き続き多く、通貨選択型は2月末で計220本程度に増えた。2月の資金流入額は合計約3千億円、純資産残高は計3.3兆円近くに達した。このうち、ブラジル・レアルに切り替える通貨選択型は40本程度とファンド数は全体の5分の1未満ながら、2月の資金流入額は2千5百億円程度、残高は約2.4兆円と、他通貨を圧倒してブラジル・レアルを投資家が選好している構図に変化はない。

資金流入額上位5本もすべてブラジル関連。ブラジルに対する投資家の高い期待は衰えることを知らない。ただ通貨選択型一辺倒という訳ではなく、ブラジル株式やブラジル債券で運用するファンドにも食指が伸びてきた。資金流入額1位の「野村ブラジル・インフラ関連株投信」および5位の「ブラデスコ ブラジル株式オープン」は2月新規設定のブラジル株ファンド。2月新規設定で2位の「野村新エマージング債券投信(通貨選択型)ブラジルレアルコース(毎月分配型) 」と3位の「SMBC・日興ニューワールド債券ファンド(ブラジルレアル)」は新興国を中心とした米ドル建て債券に投資し、為替ヘッジで米ドルをブラジル・レアルに切り替える通貨選択型ファンド。4位にはブラジル・レアル建て債券に直接投資する「ブラジル・ボンド・オープン(毎月決算型)」が入った。2月は、BRICs株ファンドを含まない、ブラジル関連ファンドに5千億円の資金が流入。ブラジル関連ファンドの純資産残高は計4兆5千億に達し、ETFを除く追加型株式投信の十分の一を占めるまでに成長した。

ブラジル以外の新興国株ファンドへの関心も高い。2月新規設定の「リアル・インド株式ファンド(3ヵ月決算型)」(新光投信)には120億円程度、「中国A株ファンド(愛称:ザ・チャイナ)」(T&Dアセットマネジメント)には40億円強の資金が集まった。これも投資家の“アクティブ”な投資スタンスの表れとみられる。

 

バークレイズ銀行はブラジル・レアルに強気見通し。ブラジル・レアルのみではなく、新興国通貨全般や先進国通貨に対しても1年後は円安予想。キャリートレードの調達通貨が米ドルから円に切り替わるとの想定が背景に。

気になるのはブラジル・レアルの動向。対ブラジル・レアルでは2月末までの1年間で2割近く円安が進行したが、バークレイズ銀行は1年後にさらに円安が進むと予想している。「ブラジルの経常赤字や大統領選を控えた経済政策に対する不透明感などのリスク要因があるものの、ブラジル経済の内需の強さは投資マネーを呼び込みやすい。金利が高い点も通貨高を招きやすい」(バークレイズ銀行東京支店・チーフFXストラテジストの山本雅文氏)。

もっともバークレイズ銀行では、ブラジル・レアルのみではなく新興国通貨全般や、米ドル、豪ドルなど主要国の通貨に対しても、1年後の円安を予想している。「過去の値動きを分析すると、米ドル・円相場の動きは米国長期金利の変動と連動性が高かった。米国の景気回復は順調に進んでおり、金融緩和政策への修正の方向が見えてきたことから、長期金利高を予想している。その点で、米ドル高・円安の方向に動くとみるのは自然。ブラジル・レアルにしても対米ドルではさほどの上昇は期待できないものの、円に対しては強くなるとみている」(山本氏)

「さらに短期金利の水準でも、米国よりも日本の方が低い状態に舞い戻ることから、低金利の通貨を調達して高金利通貨に投資する“キャリートレード”の調達通貨が米ドルから円に再シフトすることが考えられ、これも円売り圧力要因になる」(山本氏)。

日本株ファンドも資金流入超過。京都銘柄で運用する“ご当地ファンド”が寄与。地方銘柄の株価は意外に健闘。バークレイズ・キャピタルでは地方発の“日本の食文化”企業に注目。

資金流入額6位は大和投資信託の「ダイワ・ニッポン応援ファンド −京都の志士達−」。360億円を超す資金を集めた。京都府に本社を置く企業に投資する、いわゆる“ご当地ファンド”。地元企業を応援しながら、企業の業績拡大と地域経済活性化による資産形成を狙うタイプのファンドだが、ファンド名は日本近代化の先駆者として活躍した坂本竜馬を中心とする幕末の志士を連想させ、関西圏だけでなく、投資家の資金を全国から広く集めたとみられる。インデックスファンドを含む日本株ファンド全体では、2009年5月以来の資金流入超過(約170億円)に転じた。

上場企業(時価総額100億円以上)を本社事務所の所在地別に全国47都道府県別に分け、都道府県別の平均騰落率を集計し見比べてみると、この数年、京都企業の株価は全国平均や東京銘柄、日経平均に比べて堅調だったのが目に付く。時価総額100億円以上の京都銘柄は30近くあり、時価総額もおしなべて大きく、ファンドに組み入れやすい面もある。歴史と文化に彩られた古都が世界有数の観光地になっている例は、京都と同じ盆地のイタリアのフィレンチェ(フローレンス)など少なくないが、京都のように伝統工芸をベースにして、国際競争力を有するハイテク企業の集積地に進化した例は世界でも珍しい。何か、京都が持つ独自の風土が関係しているのかもしれない。

全国47都道府県別、株価平均騰落率――2010年2月末時点

京都銘柄のみではなく、地方に根ざした企業の株価が全国平均に比べて健闘している例もある。まだ小型銘柄が多いが、内需の掘り起こしが叫ばれる現在、こうした地方企業の成長が日本株市場の底上げにもつながるはず。

バークレイズ・キャピタル証券の株式ストラテジスト、高橋文行マネージングディレクターは日本株相場の今後について、海外売上高比率の高い輸出関連株主導の相場展開を予想している。「製造業全体では在庫圧縮およびリストラや設備投資の抑制が一段落し、フリー・キャッシュフロー(純現金収支)が改善傾向にある。世界的な需要が拡大してくると、利益回復のスピードが速まる可能性がある」(高橋氏)。

こうした中、高橋氏は地域に根差す内需関連企業として、“日本の食文化”をビジネスに結びつけた企業展開に注目。「“日本の食文化”は内需のみならず外需としても有望」(高橋氏)と分析している。

 

執筆:QBR 高瀬浩(掲載日:2010年03月09日)

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