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ファンドの半年間騰落率と1年運用効率ランキング<分類別>、2010年2月末――

金融市場の回復を受け、外債ファンドの半年間騰落率で「DWS ロシア・ルーブル債券投信(年2回決算型)」が首位に、海外株ファンドの1年運用効率では「フィデリティ・日本・アジア成長株投信」が首位に浮上。

半年間の運用成績は全体的に伸び悩み。国内小型株ファンドやユーロ建て債券ファンド、国内REITファンドの下落目立つ。

追加型株式投資信託(ファンド、ETF以外は純資産残高30億円以上)を主な投資対象に分類区分し、2月末までの分類別の半年間騰落率を作成した。この半年は追加型株式投信全体の平均騰落率が小幅マイナスになり、全体的に運用成績が伸び悩んだ。ETFでは国内銀行業指数連動型や不動産業指数連動型の下落率が大きく、日本株ファンドでは小型株ファンドの下落が目立つ。外債ファンドに目を向けると、ギリシャをはじめとする欧州周辺国の信用不安が響く形でユーロが急落したことから、ユーロ建て債券で運用するファンドが下落率の上位を占めた。代替投資型では海外REITファンドは上昇した一方で、国内REITファンドは下落し、内外で明暗を分けたが、国内REITファンドもこの3ヵ月間では持ち直してきている。

<分類別・半年間騰落率ランキング上下10本、2010年2月末>

分類別の上昇率首位ファンドを列挙すると(リスク度は“QUICKファンド・リスク”(注1)):

ETF: 「NEXT FUNDS ロシア株式指数・RTS連動型上場投信」(野村アセットマネジメント)
   ◇半年間上昇率:18.3%、リスク度:5

(1)日本株:「三菱UFJ/メロン グローバルイノベーション(愛称:ニュートン) 」(三菱UFJ投信)
   ◇半年間上昇率:2.6%、リスク度:4

(2)海外株: 「ダイワ・ロシア株ファンド」(大和投資信託)
   ◇半年間上昇率:27.4%、リスク度:5

(3)外債(為替ヘッジなし・部分ヘッジあり): 「DWS ロシア・ルーブル債券投信(年2回決算型)」(ドイチェ・アセット・マネジメント)
   ◇半年間上昇率:17.9%、リスク度:3

(4)代替投資型: 「GS米国REITファンド Aコース(毎月分配型、為替ヘッジあり)(愛称:コロンブスの卵)」(ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント)
   ◇半年間上昇率:10.9%、リスク度:5

(5)資産分散型: 「新光金融リカバリー・ファンド 」(新光投信)
   ◇半年間上昇率:10.0%、リスク度:1

(6)国内債・外債(為替ヘッジあり): 「欧州ハイ・イールド・ボンド・ファンド(円コース)」(野村アセットマネジメント)
   ◇半年間上昇率:13.1%、リスク度:1

ロシア関連が半年間上昇率の上位に。外債ファンドで上昇率首位に立ったロシア債券ファンドを運用するドイチェ・アセットに上昇要因を聞く。ロシア債券ファンドの基準価額は大幅下落から当初元本の85%まで回復。

とりわけ健闘したのはロシア関連ファンド。ロシア株ファンドがブラジル株ファンドを押さえて海外株ファンドの上位を独占。外債ファンドではロシア債券ファンドが首位に浮上した。

外債ファンドの上昇率首位(約18%)に立った「DWS ロシア・ルーブル債券投信(年2回決算型)」(ドイチェ・アセット・マネジメント)は、2008年5月の設定。設定直後に起こったロシアとグルジアの軍事衝突による外国人投資家資金の国外退避やリーマン・ショック後の世界的金融危機が重なり、基準価額は2009年2月に当初元本(1万円)の5割を切る水準まで落ち込んだが、安値から1年たったこの2月末の基準価額は当初元本の85%まで回復した。

 

ファンドはロシアの国債と準国債および国際機関債に投資するが、ロシア・ルーブル建てのロシア債券のみならず、ユーロ市場で発行された米ドル建て、ユーロ建てのロシア債券も組み入れる。1月末時点の配分比率は、ルーブル建てが全体の50%程度、米ドル建て約45%、残り5%弱がユーロ建てだった。組み入れ債券の平均利回り(1月末時点)はルーブル建てが7.6%、米ドル建てが6.3%、ユーロ建は5.7%程度。ただし、投資先の米ドルとユーロも為替ヘッジでルーブルに切り替えるので、基準価額は全面的にルーブル・円相場の変動の影響を受ける。この為替ヘッジの仕組みは通貨選択型”ファンドと同様にして、低金利の米ドルまたはユーロから高金利のルーブルに為替ヘッジする際に、短期金利差相当の為替ヘッジプレミアムがファンドの収益に加算される。現在、米ドルおよびユーロと、ルーブルとの間の為替ヘッジプレミアムは年率で4%程度のようだ。

この1年間で、ファンドの基準価額は約7割上昇。この間、NYの原油先物価格は約8割上昇しており、単純に原油価格の上昇相場に乗った回復とみることもできるが、ドイチェ・アセット・マネジメントではロシアの信用力改善も無視できないと指摘する。「ファンドは基本的にロシアのソブリンリスク(信用リスク)に投資していると言えるため、ロシアの主要産業である原油および天然ガスの市況変動の影響は少なからず受ける。ただ過去1年間で見ると、ファンドの基準価額とNY原油先物価格との相関(値動きの連動性)は0.6程度と必ずしも高くはなかった。原油価格上昇以外にも、ロシアの信用リスクが大幅に縮小し信用力が回復したことや、2009年4月以降ロシアが金融緩和政策を取り続けていることなど、ロシア固有の要因が基準価額回復の原動力となった」(ドイチェ・アセット・マネジメント運用部ポートフォリオ・マネージャーの加藤善将氏)。

「昨年夏以降はドバイショックが起こったことや、ルーブルだけでなくユーロやドルに対して円高が進んだことが響いたものの、基準価額は上昇傾向をたどった。ロシアの国内債券のみではなく、ユーロ市場で発行されている米ドル建てやユーロ建てロシア債券にも投資していることが市場分散効果の点で寄与した。ユーロ市場での債券相場がロシア国内よりも総じて堅調となったためだ」(加藤氏)。

ドイチェ・アセット・マネジメントではファンドの運用成績を左右するロシア経済の今後の注目点として「2010年のロシアの実質GDP成長率が前年の大幅なマイナスからプラス回復するかどうかが関門」(加藤氏)を挙げ、ルーブルやロシア債券市場については「当面の原油価格が1バレル=75〜85米ドルで推移すると想定している中、仮に下がったとしても1バレル=55米ドル程度であれば、ロシア経済にはそれほどの悪影響は無い。中国を中心とした新興国主導の世界景気の回復基調が腰折れしない限り、ルーブルは強含むとみている。ロシア中央銀行による金融緩和スタンスは当面継続し、ロシア債券市場は堅調な動きを取る」(加藤氏)と分析している。

ただ「円はルーブルだけでなくほとんどの通貨に対してリスク回避通貨として選好されやすく、ロシア以外の世界の金融情勢によって、対ルーブルで円高に振れる側面があることには留意が必要」(加藤氏)と指摘する。

1年間の運用効率ランキング

ETFを含まない各分類ごとに、2010年2月末までの運用効率上位ランキングを作成した。運用効率(注2)は、過去1年間の運用成績について足元の影響度合いを高めて計算する「QBRファンド・レシオ」(注3)で測っている。

<分類別・運用効率ランキング・トップ30と首位ファンド(分類名はランキング・トップ30へリンク)、2010年2月末時点>

(1)日本株「クロッキー日本株プラス(3ヵ月決算型)<愛称:ダブルインカム> 」(フォルティス・アセットマネジメント)
   ◇運用効率:1.81 1年間上昇率:38.3% リスク度:3

(2)海外株「フィデリティ・日本・アジア成長株投信」(フィデリティ投信)
   ◇運用効率:1.79 1年間上昇率:82.2% リスク度:4

(3)外債「野村米国好利回り社債投信 Dコース」(野村アセットマネジメント)
   ◇運用効率:2.67 1年間上昇率:50.1% リスク度:3

(4)代替投資型「住信CBオープン」(住信アセットマネジメント)
   ◇運用効率:2.63 1年間上昇率:11.9% リスク度:1

(5)資産分散型「マイストーリー分配型(年6回)Aコース<為替ヘッジ付き>」(野村アセットマネジメント)
   ◇運用効率:2.87 1年間上昇率:25.9% リスク度:2

(6)国内債・ヘッジ外債型ピムコ変動利付日本国債ファンド クラスα <愛称:Jフローター>」(ピムコジャパンリミテッド)
   ◇運用効率:7.19 1年間上昇率:11.0% リスク度:1

「フィデリティ・日本・アジア成長株投信」が海外株式ファンドの1年間運用効率首位に浮上。下げ相場では市場平均に負け、上げ相場では市場平均に勝つ傾向。アジア商圏でクロスボーダーにビジネス展開する企業の利益成長に注目した銘柄選定。

2月の運用効率上位で特徴的なのは、「フィデリティ・日本・アジア成長株投信」が海外株ファンドの首位に浮上した点。

ファンドのベンチマークは“日本を含む”「MSCI AC(All Countries) アジアパシフィック(税引き前配当込み、円ベース)」。設定月末の2006年6月末と比較すると、2月末までのファンドの運用成績は2割程度下落し、これはベンチマークの下落率とほぼ同水準。1年前まではファンドの基準価額はベンチマークの下落率に比べて、12%程度大きく下落している。ところがその後、この1年はベンチマークを約37%上回る上昇率を記録。運用内容の改善が運用効率の高さに表れたと言えそうだ。この1年は、“日本を除く”「MSCI AC(All Countries) アジアパシフィック(税引き前配当込み、円ベース)」の上昇率に対しても15%程度上回った。

 

フィデリティ投信で商品戦略や商品企画を担当する商品マーケティング部・アソシエイト・ディレクターの青木康氏は「ファンドの銘柄選別は、その主眼を企業の利益“成長”に置いている。成長企業の組み入れが主体となる結果、株式相場の下げ局面では市場平均に負けやすく、反対に上げ相場では市場平均を凌ぐような傾向が出やすい。その点では、アジア・オセアニア地域の経済成長が今後も期待できると考える投資家向けの商品と言える」と説明する。

組み入れ銘柄の国籍として2月中旬時点では、日本の約3割筆頭に、オーストラリア、韓国、中国などが目に付くが、「国の配分はあくまで、当社が得意とするボトムアップアプローチによる有望銘柄の選別を積み上げた結果。運用は香港で行っているが、銘柄選別にあたり、香港を含むアジアと東京拠点の100名以上の運用調査担当者の企業分析をフルに活用している」(青木氏)という。

青木氏はファンドの特色として「一口にアジア企業と言っても、投資銘柄には国境を超えたビジネスを展開しているクロスボーダー企業が多い」ことを挙げ、「日本やシンガポール、中国といった企業の国籍を問わず、例えば、消費関連や生活必需品の分野でアジア経済圏を横断したビジネスを展開し、今後の利益成長が期待できる企業は少なくない」(青木氏)と指摘する。

 

(注2)運用効率

ファンドの運用成績を評価する際には、運用収益(リターン=騰落率)のみだけではなく、リターンとリスク、双方のバランスをみるのが重要となる。両者のバランス度を表すのが運用効率であり、一般に「シャープレシオ」と呼ぶ指標を活用して評価する。シャープレシオはおおまかに、ファンドのリターンを価格変動リスク(標準偏差)で割って求める。ファンドが運用で取ったリスクに見合うリターンを獲得できたかどうかの運用効率を示す指標となる。実際の運用効率はシャープレシオの考え方を応用した「QBRファンド・レシオ」(注3)を基にランキングした。

ただし、運用効率といえどもあくまで過去の一断面を取って評価した数値に過ぎない。投資対象が類似するファンドの間で、リスクとリターンのバランス度の良し悪しを比較評価する尺度であって、ファンドの将来の運用成績を占うものではないことに注意したい。

(注3)QBRファンド・レシオ

ファンドの1年間の日次騰落率(リターン)について、その平均を価格変動リスク(標準偏差)で割り、一定の係数を掛け年換算した値。ただし、1年間を1年・6ヵ月・3ヵ月の3期間に分け、3期間の計算値を単純平均していることが特徴。このため、過去1年間でも足元の運用成果により比重がかかり、直近の運用改善や成績悪化の影響を反映しやすくなっている。


執筆:QBR 高瀬浩(掲載日:2010年03月15日)

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