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日経平均連動とTOPIX連動型ファンドの運用成績ランキング、過去5年――信託報酬が安いほど長期の運用成績は上位の傾向。上位と下位では5年で数%の差。ニッセイAMのファンドが上位に。連動指数に対しては組入株式の配当金が主なプラス乖離要因。信託財産留保金も上乗せ要因に。
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日経平均とTOPIXは国内株価指数の代表格。過去5年では双方とも下落したものの、日経平均がTOPIXに対し9.5%もの優位。日本株アクティブファンドも過半数がTOPIXに勝ったが、日経平均には多くが劣後。 株価指数は株式市場の平均的な値動きを示す指標のこと。日経平均株価とTOPIX(東証株価指数)は国内株価指数として世間の認知度が高く、インデックスファンドと言えば両指数を連動対象とするファンドが多い。連動と言っても何と何が連動するのか。より正確に記すと、インデックスファンドの基準価額(水準)と日経平均の指数値(水準)、もしくはTOPIXの値(水準)を合わせるのではなく、一定期間でのお互いの“変動率(上昇率または下落率)”を一致させるのが基本的な連動目標となる。 銘柄選びに手間のかからないインデックスファンドは、主な運用費用となる信託報酬が低めで、販売手数料もノーロード(無手数料)が多いなど、投資家が支払うコストが全般に安くて済む。 これに対し、国内株式銘柄を投資対象とし、組み入れ銘柄やその配分比率を独自の運用手法で選定するアクティブファンドはTOPIXをベンチマークとし、TOPIXを上回る運用成績を上げることを運用目標とするのが一般的で、信託報酬もインデックスファンドに比べ高い。2010年6月末までの過去5年間では日経平均が19%の下落、TOPIXが28.5%下落と、どちらも下落したが、日経平均がTOPIXを9.5%も上回った。このため、日本株で運用するアクティブファンド(中小型株ファンドを含む)はその過半数で過去5年の運用成績がTOPIXには勝ったものの、多くは日経平均に及ばず、日経平均優位の状態が続いた。時価総額加重平均型のTOPIXでは組入比率が高い銀行や証券業などの金融関連株が大幅に下げたのに対し、輸出関連の製造業株の比重が高い日経平均は、金融関連株の下げの影響が限定化された。 インデックスファンドの騰落率には微妙な差がつき、上位と下位の差は5年間で数%に。おおむね信託報酬の大小を反映し、コスト意識の強い投資家にはこだわりの差異との捉え方も。信託財産留保金がプラス要因になった場合も 同じ日経平均連動型やTOPIX連動型ファンドでも、運用成績のランキングを作成すると、騰落率に微妙な差が生じている。5年間では上位と下位には最大3%程度の差がついた。指数に連動させる運用手法の差異や分配状況(注1)も幾分関係しているとみられるが、いずれも指数連動を標榜して運用している以上、騰落率差の大部分は基準価額から毎日日割りで控除される信託報酬の大小で説明できる。信託報酬が小さいほどランキングの上位にきやすい。固定信託報酬は、運用成績の良し悪しとは関係なく運用期間を重ねるほど比例的に積み上がるコストのためだ。信託報酬だけではなく、販売手数料の有無やその大小なども最終的な投資家損益を左右するので、騰落率ランキング(注2)の順位だけでは評価しにくい側面もあるが、コスト意識の強い投資家とっては見逃せない差異と捉えることもできそうだ。 (注1)一般に下げ相場では、早めに多くの分配金を出した方が現金比率を増やすことになるので結果的に投資家収益の損失が小さくなる。 (注2)運用成績を同一の尺度で比較するために、分配金が出たファンドも分配金を出さないで運用を継続したと仮定して、税引き前分配金を再投資した分配金込みの騰落率で比較している。ETFの騰落率は取引所での市場価格ではなく基準価額に基づき計算。分配金が出た場合、投資家の実際の期間収益率は税金などの関係で分配金込み騰落率とは異なってくる。 信託報酬がさほど低くなくても、解約時に信託財産留保金を徴収するファンドが上位に散見されるのも注目点だ。信託財産留保金がある程度、運用成績への上乗せ要因となったケースが多いとみられる。信託財産留保金は、ファンドを長期運用する点から、換金時に発生する運用面での諸費用は換金を申し込んだ者が負担すべきという脱退費用的な意味合いで、一部のファンドにおいて設けられている。通常、換金基準価額に対し何%という割合で定めている。解約者から徴収した金額から解約にかかった費用などを差し引いた額が、解約せずに残った投資家の基準価額に上乗せとなる。 ただ信託財産留保金は元々、解約時に発生する諸費用を賄うものであり、現実問題として、解約資金を用意するため組入銘柄を売却する費用も必要となる。信託財産留保金があるからといって、必ず基準価額にプラス要因になるとは限らない。純資産残高に対する解約額の大きさの割合も関係する。解約に備えて指数先物を普段からある程度組み入れていたり、組入株式配当金の権利を得てから実際に配当金を現金で得るまでの間は、配当分を指数先物で代替運用したりと、指数先物の組入比率もファンド毎に異なる(注3)。解約と同時期に起こる新規購入額(設定額)で解約額の多くをカバーできる場合もあるし、そもそも解約が無ければ信託財産留保金は運用成績に関係しない。このようにファンドの解約状況や指数先物の組入比率などにより、信託財産留保金の運用成績への影響度はまちまちながら、運用成績の微妙な差に関係する。 日経平均・TOPIX連動型ともに、信託報酬が安いETFや401k(DC、確定拠出年金)専用ファンドが上位に。ETFと401k専用以外では「ニッセイ日経225インデックスファンド」や「MHAMトピックスファンド」が首位に。ニッセイアセットのTOPIX連動型ファンドでの信託財産留保金の上乗せ影響度を試算すると、5年間で0.6%程度のプラス。 日経平均連動型のトップは野村アセットマネジメントが運用する「日経225連動型上場投資信託」で下落率は13.6%。ランキング上位はETFが占め、ETF以外では「ニッセイ日経225インデックスファンド」(ニッセイアセットマネジメント)の下落率14.4%が首位、これに「225インデックスファンド」(T&Dアセットマネジメント)の下落率14.7%が続く。 TOPIX連動型の首位も野村アセットマネジメントの「TOPIX連動型上場投資信託」で下落率は22.7%。これにETFや401k専用ファンドが続き、それ以外では「MHAMトピックスファンド」(みずほ投信投資顧問)の下落率23.5%、「ニッセイTOPIXオープン」(ニッセイアセットマネジメント)の下落率23.7%が上位に並んだ。 上記ファンドのうち、ニッセイアセットマネジメントの「ニッセイ日経225インデックスファンド」(2004年1月設定)および「ニッセイTOPIXオープン」(2001年4月設定)は設定以降これまで分配金を出してなく、購入手数料がノーロード(無手数料)のファンドだ。 (注3)例えば、指数先物の組入比率は「ニッセイ日経225インデックスファンド」が2010年1月末までの1年間(月末時点)で1.1%〜5.1%。「ニッセイTOPIXオープン」は同期間に1.9%〜4.2%の間で推移した。 具体的に、信託財産留保金の基準価額へのプラス要因はどの程度の大きさだったのだろうか。ランキング上位に入ったニッセイアセットマネジメントのTOPIX連動型ファンドで、信託財産留保金の上乗せ影響度を試算してみる。「ニッセイTOPIXオープン」の信託報酬は0.525%(年率、税込み)であり、ランキング対象ファンド38本中15番目の大きさで、TOPIX連動型全体の中では格安水準という訳ではない。換金時には、解約申し込み日の基準価額に対し0.3%の信託財産留保金が徴収される。 グラフは、同じニッセイアセットマネジメントが運用し信託財産留保金が無い「ニッセイ日経225インデックスファンド」(信託報酬は年0.2625%、税込み)と「ニッセイTOPIXオープン」について、1年騰落率から連動指数(日経平均もしくはTOPIX)の1年騰落率を差し引いた値の推移を示す。この値は、組入株式の配当利回りから信託報酬を控除した実質的な配当利回りに相当する。そうすると、「ニッセイTOPIXオープン」では2006年半ばにかけ2%程度まで跳ね上がり、「ニッセイ日経225インデックスファンド」の1%前後を大幅に上回っていた時期があることが分かる。 日経平均とTOPIXは構成銘柄が異なるため、配当利回りは一致しないが、その差は過去5年間で最大でも0.3%以下だった。両ファンドの信託報酬の差を考慮したとしても、配当利回り差以外のほかの運用成績への上乗せ要因が発生したことになる。「ニッセイTOPIXオープン」では2005年末に解約額が膨らみ、解約額の純資産残高(前月末と当月末の平均)に対する割合が3割を超えた月があり、解約時の信託財産留保金が基準価額へのプラス要因となったことが見てとれる。 「ニッセイTOPIXオープン」の5年間の解約率(解約額の純資産に対する割合の累計、この間の新規購入額は考慮しない)は約1.9倍。5年間を通じて純資産残高に対しざっと2倍の解約があったことになる。これに信託財産留保金の0.3%を掛けると、基準価額に対し概算で0.6%程度のプラス要因が生じたと推計される。ただし解約に伴って必要となった運用費用は考慮していないので、このすべてが上乗せになった訳ではないとみられる。信託財産留保金による基準価額への上乗せ効果は、他人の解約による他力本願的なプラス要因であり、その時々の解約状況に左右される。長期投資を志向する投資家にとってはこの程度プラスとなる可能性もある、との認識にとどめておくべきだろう。
インデックスファンドの騰落率はすべて日経平均(もしくはTOPIX)を上回り、5年間の差は4〜5%以上にも。インデックスファンドには組入株式の配当金が入るのに対し、指数は配当を含まずに計算する指数のため。 連動指数との運用成績の差にも注目したい。インデックスファンドの5年間騰落率と日経平均(もしくはTOPIX)の5年間騰落率を見比べると、インデックスファンドの方がすべて上回り、ランキング上位ファンドではその差が4〜5%に達した。この差の主な要因は。インデックスファンドの方は組入株式の配当金が入るのに対し、日経平均とTOPIXはどちらも採用銘柄の株価に基づいて計算し、配当金は考慮していないためだ(注4)。 (注4)TOPIXに関しては、配当金を加味して計算する“配当込みTOPIX”という、TOPIXとは別の指数がある。 仮にインデックスファンドの組入銘柄とその配分比率が指数と完全に同じとの前提を置くと、理論的には組入銘柄の配当金から運用費用(主に信託報酬)を控除した分程度だけ、インデックスファンドの1年間の運用成績は連動指数を上回ることになる。前記のように、さらに信託財産留保金がプラス要因として加わる場合もある。 6月末時点での日経平均の予想配当利回りは1.9%弱で、TOPIXは2%程度。仮に指数と100%連動した運用を行い、1年間の実際の配当金が現時点の予想値と大きく変動しないという仮定をおくと、日経平均連動型インデックスファンドの今後1年間の騰落率は概算で1.9%マイナス信託報酬分、TOPIX連動型は2%マイナス信託報酬分、日経平均もしくはTOPIXの1年騰落率を上回ることになる。 ニッセイアセットマネジメントのファンドについて、5年間の基準価額と指数の動きを見比べると、年を追うごとに、指数に対しプラス乖離幅がじわり広がっていくのが分かり、長期に運用すると、配当金の上乗せ幅は結構大きくなる。
インデックスファンドの利用形態の一つ、定時定額積み立て投資(ドルコスト平均法)では、将来の値上がり期待を前提とする以上、分配金が出ないファンドの方が運用効率は高い。ノーロード(無手数料)であれば、利便性がより高まる。ただし積み立てでは基準価額が平均購入単価を割り込むと含み損状態になる。 長期でのインデックスファンドの利用形態の一つとして、少額の一定資金の積み立てを毎月継続する定時定額型の積み立て投資(ドルコスト平均法)がある。インデックスファンドに限らないが、積み立て中に分配金が出た場合、課税後(国内の公募株式投信は現在10%の源泉分離課税)の分配金を自動再投資していくことになる(分配金の現金受け取りが可能な販売会社もある)。このため、将来の値上がりを期待して投資する以上、分配金を出していないファンドの方が分配金課税の目減りがない分、運用効率が高まる。さらに、購入手数料がノーロード(無手数料)であれば、より積み立て投資の利便性が高い。もっとも多少の運用効率悪化には目をつぶっても、積み立てであっても分配金の現金受け取りを選好する投資家も少なくないのかもしれない。また過去に分配金を出していないからと言って、将来もずっと無分配を継続するとは限らない。 なおETFでは制度上、組入銘柄の配当金マイナス運用経費(主に信託報酬)はすべて課税対象の分配金として現金で支払われ、分配金の再投資機能はない。ETFは株式と同様に日中、取引所で自由に売買できる。そのため、ETFの売買価格(市場価格)は買いと売りの需給関係にさらされ、基準価額に対し安めの信託報酬が吹き飛ぶくらいプラスもしくはマイナスに乖離した値段で取引される場合がある。一方、ETF以外のインデックスファンドの売買価格は基準価額であり、日本株インデックスファンドの基準価額は当日の株式市場最終値に基づいて計算される。 ただし積み立て投資(ドルコスト平均法)といっても万能の手法ではなく、一括投資に比べ収益性が劣ることもある。積み立てでは平均購入単価が重要となる。平均購入単価はこれまで積み立ててきた累計投資額を買い付けた総口数で割った金額。この平均購入単価はファンドの基準価額の変動に比べ緩やかに動く。上のグラフのように、リーマン・ショックに遭遇して基準価額が急落しても平均購入単価はそれに追随して急降下しない。積み立て投資で収益がプラスになるのは、現在の基準価額が平均購入単価を上回る場合に限られる。グラフの2007年後半以前の局面に当たる。それ以降は基準価額が急落して平均購入単価を割り込み、含み損状態が続いている。グラフは月末の基準価額で積み立てを継続した例だが、購入日(発注日、注5)を任意で指定できるケースが増えているようだ。購入日の違いや積み立て投資の開始時期も損益に関係してくる。 5年前から積み立てを継続した場合、6月末時点での「ニッセイ日経225インデックスファンド」の収益率(累計投資額に対する時価の割合)はマイナス23%程度、「ニッセイTOPIXオープン」の収益率はマイナス28%と、いずれも、5年前に一括投資した場合の騰落率を下回っている。含み益状態に転じるには今後、ファンドの基準価額が平均購入単価を上抜いてくるのを待つしかない。こうした点を踏まえると、積み立て投資でも必要に応じた部分解約が可能だが、目的とする資産形成に向け途中解約をせずに済むよう、無理のない範囲で継続するのが積み立て投資の基本スタイルとなる。 (注5)約定値としての基準価額の適用日はファンドによって異なる。日本株インデックスファンドなど国内資産型ファンドは通常、購入日の基準価額を適用。海外資産型の場合は、翌営業日や翌々営業日の基準価額を適用。 執筆:QBR 高瀬浩(掲載日:2010年07月27日)
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