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【第131回】投信フォーカス意表を突くブラジル金融取引税復活で投信への影響は・・・ブラジル政府は金融取引税を再開すると同時に課税の範囲を債券だけでなく株式にも拡大した。ブラジルの株式や債券を新たに購入する国内公募の株式ファンドにとっては投資コストアップにつながるため、基準価額にはマイナス要因となる。 税率は2%に引き上げ 金融取引税(IOF)は外国人投資家がブラジルの株式や債券等を購入するためにブラジルへ送金する際の為替取引に課せられるもの。IOFは2008年3月に債券等を対象に1.5%の税率で導入されたものの、同年10月には0%に引き下げられた。今回は株式も課税の対象に加えたうえ、税率は2%に引き上げられた。IOFの復活は急速なレアル高を抑制したいというブラジル政府の意向に沿った措置。 ブラジル債券ファンドにはコンスタントに資金が流入 ブラジル株などの買い付け時には時価に対して2%の税率がかかるため、国内公募株式ファンドにとってはコストが発生することになる。例えば、今後、ブラジル株ファンドが新規設定された場合や、新規の投資家資金がファンドに流入すれば影響を受ける。 国内では現在、14本のブラジル株ファンドが運用中で残高の合計は4000億円超(10月21日時点)。08年のリーマン・ショック後は資金が流出していたが、オリンピック効果もあって足元では資金が流入しているファンドもある。11月25日は大和投資信託が『ダイワ・ブラジル株式オープン―リオの風―』を新規設定する。販売会社は大和証券と大和証券SMBC。ブラジル債券ファンドや組入資産の一部をブラジルレアル建て債券に投資するファンドには比較的コンスタントに資金が流入している。 投資コストに加えて、短期的に懸念されるのがブラジル株やブラジルレアルの動向。IOFの再開を嫌気した株価や債券価格の下落に加え、ブラジル政府の狙い通りにレアル安に転じれば為替差損などが発生して基準価額の下落につながりかねない。IOFが再び導入された10月20日のボベスパ指数は前日比で約3%下落、レアル・円相場は1%弱と円高が進んだ。 ブラジル株市場の規模や流動性から、米預託証券(ADR)やグローバル預託証券(GDR)を利用するブラジル株ファンドもあるが、ADRやGDRは課税の対象とならない。このため、ブラジル株のADRやGDRは今回の措置で買い需要が増し、ブラジル国内の株式よりも割高になる可能性もある。 “通貨選択型ファンド”の直接的な影響なし 国内公募の株式ファンドで人気を集めているのが為替ヘッジプレミアムを狙う“通貨選択型ファンド”。同タイプの中でも『野村新米国ハイ・イールド債券投信(通貨選択型)ブラジルレアルコース(毎月分配型)』の残高が5000億円に迫るなど、ブラジルレアルを選択するファンドが特に人気だ。 このタイプのファンドが為替ヘッジを行う場合、“ノン・デリバラブル・フォーワード(NDF)”という為替予約取引を行うのが一般的だが、この取引は通常ブラジル国外のオフショアで行うため、IOFの対象にはならない。このため、同ファンドが行っている米ドル・ブラジルレアルの為替ヘッジには直接的な影響はない。ただ、課税されないNDF取引の需要が増加し、結果的にNDF取引で得られる為替ヘッジプレミアムも縮小する方向に動く可能性もある。 今後は11月17日にT&Dアセットマネジメントの運用で野村証券が販売する『野村エマージング債券投信(通貨選択型)』が新規設定される予定だ。 今回のIOF復活について各運用会社では相次いで臨時レポートを発表。一時的なブラジルの株式・債券相場にはマイナス要因となるかもしれないが、「ブラジルの中長期的な経済の潜在成長力を踏まえれば影響は限定的」(HSBC投信)との見方が多い。
執筆:QBR 根岸てるみ(掲載日:2009年10月23日)
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