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【第137回】投信ニューフェース『NYダウETF』(シンプレクス)――日本の取引時間に東証でNYダウの売買が可能に。外国人がETFを売買する際の税務リスクを避けるため、指数採用銘柄組み入れの外国籍ファンドに投資する運用形態を採用。配当金の30%源泉税は還付されず、国内源泉税との二重課税状態が残る。独立系アセットマネジメント会社のシンプレクスが、個人向けETFを運用。 シンプレクス・アセット・マネジメント(以下、シンプレクスAM)が運用する『NYダウETF(1679)』<正式名称:「Simple−X NYダウ・ジョーンズ・インデック上場投信」>が、2009年12月10日に東証に上場する。海外先進国の株価指数連動型のETFは国内初登場。NYダウを日本時間に東証で、円で売買できることになる。売買単位は10口で、最低売買代金は当初10万円程度の見込み。信用取引も可能だ。運用コストとなる信託報酬は実質年0.6075%程度(税込み、注1)。決算は年1回(12月)で組み入れ株式の配当金を原資にした分配を行う。今年8月に大証に上場した「WTI原油ETF(1671) 」に続く、同社ETF第二弾となる。ETFは上場投資信託のことで、一般の公募投信と異なり、購入にあたり投資家が目論見書を閲覧する義務がないなど、手軽な売買が可能となっている。国内籍ETFの税制は国内上場株式や公募株式投信と同じ税制上の仕組みが適用される。 国内で個人が購入可能なNYダウ連動型のファンドには他に、中央三井アセットマネジメントが指数採用銘柄を直接組み入れて運用する「中央三井ダウ・ジョーンズ インデックスファンド」(信託報酬は年0.7245%)などがある。 シンプレクスAMは米大手証券の旧ソロモン・ブラザーズ(現シティグループ証券)の債券売買チーム出身者が中核となって、1999年に立ち上げた和製ヘッジファンドの草分けとして知られる。債券価格(金利)の理論値を最先端の金融工学を駆使して分析。金利の実勢値と理論値の歪みを見つけ、そこから収益を生み出す債券アービトラージ(裁定)取引を得意としてきた。現在は運用の主軸を、独自の定量分析モデルを基に割安株を発掘する日本株運用に置き、内外の機関投資家向けに日本株ファンドの運用商品を提供している。国内の富裕層向けに提供している公募株式投信の「シンプレクス・ジャパン・バリューアップ・ファンド」が、同じ運用内容の日本株ファンドだ。 そんなプロ向け運用を手掛けてきたシンプレクスAMが個人向けのETF運用に参入したのは、ひとえに国内ETF市場に対する同社水嶋浩雅社長の問題意識からだ。水嶋氏は今後のETF普及への意気込みをこう語る。「日本のETF市場は米国に比べ、市場規模や多様性の点でかなりの遅れをとっている。金融市場に関わる者として、日本株に偏っているETFのラインアップを何とか是正し、多種多様なETFを投資家に提供したい。“WTI”に続き、今回“NYダウ”を選んだのは、NYダウの値段や値動きは毎日、新聞やテレビなどのニュースで伝えられ、日本の個人に最も馴染みのある米国を代表する株価指数だからだ。相次いでとはいかないかもしれないが、わかりやすさや運用の透明性を活かしたETFを投入していきたい」(水嶋氏)。 ETFはケイマン籍の外国籍ファンドに投資。株式配当金の国際課税に関する扱いから、現物拠出型の海外株ETFの実現は難しい。 ETFの運用の透明性という点で、シンプレクスAMが検討に検討を重ねたのがETFの運用形態だ。『NYダウETF(1679)』は、ケイマン籍の「シンプレクスNYダウジョーンズ・インデックス・トラッカー・ファンド」に大部分を投資し、残りの一部を国内短期債券で運用する「SAM・マネー・マザーファンド」に投資するファンド・オブ・ファンズ(FOF)形態で運用する(注1)。ファンド名の“トラッカー”とは“追随する・連動する”という意味を持つ。 (注1)「SAM・マネー・マザーファンド」に投資するのは、複数ファンドに投資することを前提とするFOF形態に沿うようにするため。「SAM・マネー・マザーファンド」の配分比率が変化し、実質的信託報酬は0.6075%“程度”と、0.6075%から微妙にずれる場合がある。
ファンド・オブ・ファンズ(FOF)形態で運用
(出所)シンプレクス・アセット・マネジメント
なぜ、NYダウ採用銘柄を直接組み入れずに、わざわざFOF形態をとるのか。それは、国際的な税務ルールでの株式配当金課税の扱いが関係している。「国内籍のETFで直接米国株式を保有すると、税務上のリスクが発生し、運用の継続に重大な支障をきたす可能性がある。日米租税条約の関係で、NYダウ構成銘柄の米国株に投資する際、投資家が日本人の場合と米国人とでは、配当課税方式が異なる。ETFは取引所に上場しているため、一般の公募ファンドとは異なり、日本人以外の外国人が自由に購入することが可能で、かつこれを制限することができない。その結果、日本籍のETFで直接米国株式を保有すると、そのETFを購入した米国人に対する配当課税は米国内での税制に比べ有利になる場合があり、ETFが税制回避の商品になっているとの指摘を米国の税務当局から受ける可能性が生ずる。こうした組み入れ株式の配当課税に関する問題は米国株特有のものではなく、日本と租税条約を結んでいる多くの国の株式を対象とするETFを組成する際にも発生することになる」(水嶋氏)。 「このような税務リスクを避け、運用の透明性を維持するため、米国とは租税条約を結んでいないケイマン籍の米ドル建て“シンプレクスNYダウジョーンズ・インデックス・トラッカー・ファンド”を介して運用する。このファンドは投資一任契約に基づき当社の東京拠点で運用し、NYダウ採用銘柄をほぼそのままの構成比率で組み入れる。現在は想定していないものの、場合によっては一部、NYダウの先物を活用する可能性はある」(水嶋氏)。 租税条約とは国際取引で生じる二重課税の調整や租税回避への対応などを目的とした国際的な税務措置のこと。日本の公募株式投信や海外籍ETFには米国株を直接組み入れたファンドがあるが、配当課税はどのように扱われているのか。実は、国内公募株式ファンドで米国株を直接組み入れている場合、米国に株式配当金の源泉課税(現在10%)を納めることになる。ただ、そうすると国内課税との間で二重課税になるので、米国での課税分を取り戻す(還付を受ける)“外国税額控除”をファンド側で行うことが租税条約上認められている(注3)。このため、米国での源泉課税を個人投資家が意識する必要はほとんどない。ただしこれは、国内公募株式ファンドを日本人が購入するという前提に立った話。 一方、米国人のみならず、外国人が自由に売買できるETFの場合は、外国税額控除をファンドで行うのは制度上できず、現在のところ、海外株を直接組み入れる“現物拠出型”の国内籍ETFの実現は国際税制の関係で難しいというのが実情のようだ。これに対し、米国で様々な国の株を直接組み入れた海外株現物拠出型のETFが組成されているのは、米国では株式配当金は源泉課税ではなく、キャピタルゲイン(値上がり益)と同じ総合課税の対象になっていることが関係しているとみられる。 (注3)国内公募株式投信のファンド段階での“外国税額控除”は2010年1月から行われなくなった。外国税額控除は決算時に分配金を出す場合のみに適用されていたため、分配金を出さないファンドは元々海外源泉税を取り戻すことができない。租税条約上の海外源泉税の”還付請求”と”外国税額控除”は厳密には異なる仕組み。“外国税額控除”の適用除外については「国内公募株式投信での『外国税額控除』適用除外の影響を探る」を参照。
ケイマン籍のファンドは米国株式配当金に現在30%源泉課税。ケイマンと米国は租税条約を結んでいないので、課税分を取り戻すことはできない。配当金の扱いに関しては税制上不利になる。 水嶋氏は配当金課税に関する注意点として、二重課税状態が解消できず不利になる点を挙げる。「ケイマン籍のファンドに投資することで、税務上のリスクは無くなり運用の透明性は維持できる。ただ、ケイマンと米国は租税条約を結んでいないので、株式配当金に対し現在上限の30%源泉課税され、それを米国に納める。外国税額控除を行うこともできないので、この30%分を投資家が取り戻すことはできない。このため、配当金に関しては税制上不利になる。例えば、NYダウの現在の予想配当利回りは3%弱。仮に1年後の決算時での配当利回りが3%とすると、配当利回りはこれから30%を引いた2.1%に下がり、さらにこれから信託報酬を控除して円換算した分配金を支払うことになる」(水嶋氏)。 「仕組み債を活用することで組み入れ銘柄の配当金を再投資に回すような、分配しないETFの実現も可能だが、今回はわかりやすさを重視し、配当金を考慮しないで計算するNYダウ円換算値との連動性を高める方式を選択した。“NYダウETF(1679)”にはNYダウの上げ下げや円相場の変動による元本割れリスクがあるというのは大前提だが、国内籍のETFにすることで、特定口座を活用した簡便な税務処理や信用取引の活用、海外籍ETFの売買で必要となる外国為替手数料は不要など、配当金の二重課税を排除できないデメリットを補って余りある様々なメリットがあるのではないかと判断している」(水嶋氏)。 日本の取引時間と米国株式市場の取引時間は重ならない。東証での日中の取引価格は、需給関係や円相場で動く。ほぼ24時間取引のCME先物があり、NYダウ先物の変動とは大きく乖離しない可能性も。 一日一回夕方に算出する『NYダウETF(1679)』の基準価額は、日本時間でみて主に「シンプレクスNYダウジョーンズ・インデックス・トラッカー・ファンド」の米ドル建ての前日時価を、日本時間当日午前の米ドル・円相場で円換算した値となる。「トラッカー・ファンド」はNYダウ(円換算値)の変動率への連動を目指す。日本とNYとの間の時差は現在14時間(夏時間帯は13時間)。東証が取引を開始する午前9時はNYの前日夜19時、取引終了の午後15時はNYの深夜1時にあたり、取引時間帯は全く重ならない。日本時間の当日に参照できる前日公表の基準価額は、実質2日前のNYダウを前日の円相場で円換算した値だ。このため、東証での市場価格と基準価額との乖離は少なからず発生し、市場価格は東証での需給関係や当日の米ドル・円相場に基づき、時々刻々と変動する。 ただNYダウの先物が、シカゴの先物取引所CMEで活発に取引されている。Globex(グローベックス)と呼ぶ電子取引を通じて、一時停止時間を除いてほぼ24時間、日本の取引時間と重なる時間に取引を行うことが可能となっている。このため、『NYダウETF(1679)』(円建て)とCME先物(米ドル建て)との変動率との間に大きな乖離があると、裁定取引によるサヤ取りのチャンスが生まれる。結果的に『NYダウETF(1679)』の東証での市場価格(円建て)と先物価格(米ドル建て)との間の変動率の乖離は、それほど広がらない可能性はある。 NYダウのリスク・リターン特性を分析。30銘柄構成ながらも、500銘柄を組み入れるS&P500とは、過去20年間の価格変動リスクの差はほとんどない。 NYダウは米国を代表する企業、30銘柄で構成する株価指数だ。他に、米国株式市場を代表する株価指数としては、大型株500銘柄で構成する「S&P500」や新興企業を中心とした株式市場の値動きを表す「NASDAQ総合株価指数(NASDAQ Composite)」などが有名だ(注2)。 (注2)「S&P500」は構成銘柄の時価総額を、実際に上場している株数に対する時価総額に浮動株調整し、その合計時価総額の変動を示す株価指数。「NASDAQ総合株価指数」は時価総額型で現在、約2800銘柄で構成。
グラフは、約20年間のNYダウの動きをS&P500、NASDAQ総合、日経平均および円換算したNYダウと比較したもの。日本経済のバブル崩壊後にあたるこの20年間に、日経平均は3万9千円弱から9千円台まで4分の1に下落。一方、NYダウは約2750(米ドル)から1万(米ドル)台に約3.8倍に上昇。米ドル・円相場は1米ドル=140円台から90円割れまで4割、円高に振れたため、NYダウ(円換算)の上昇率は約2.3倍に縮小したが、それでも低迷した日経平均とのコントラストが鮮明になった。
20年間の価格変動リスクを計測すると、NYダウとS&P500ではほとんど差が無かった。NYダウの採用銘柄数は30と少ないため、その価格変動リスクはより多数の銘柄で構成する株価指数に比べ大きいと考えがちかもしれないが、実像は異なる。NYダウの価格変動リスクは、より多数の銘柄で構成されるNASDAQ総合や日経平均に比べても小さかった。30銘柄に絞り込まれていても、業種がちらばっているため、銘柄分散によるリスク低減効果が効いている可能性がある。証券投資理論には、株式ポートフォリオでは構成銘柄数を増やしていっても、ある銘柄数を境に価格変動リスクが一定値より下がることはないという教科書的説明がある。つまり、どんなに銘柄数を増やしても株式市場全体の価格変動リスクは排除できないという理屈だ。
NYダウと米ドル・円相場の関係。この数年、NYダウ高=円安・米ドル高が続いてきたが、今年に入りNYダウ高=円高・米ドル安の逆相関に。 NYダウ(米ドル建て)米とドル・円相場の関係だが、グラフにしてみると、興味深い関係が浮かび上がる。過去10年間において、逆の動きをとっていた局面が目立つことだ。つまり、NYダウ上昇局面では円高・米ドル安、NYダウ下落時は円安・米ドル高の関係にあった。この点について、香港上海銀行(HSBC)為替資金営業部長の花生浩介氏は独自の見方を披露する。「原油価格高騰で巨額のドル資金を得た新興諸国がヘッジファンドを通じて米ドル運用の主導権を握るように変わった。あくまで2006年以降での世界の金融市場の構造変化だが、米株を含むリスク資産価格の上昇時にはヘッジファンドが手持ちの米ドルを売り、他通貨資産買いを積極化。反対にリスク資産価格の下落時には米ドル資金に回帰――という投資行動を拡大するようになった。この結果、米株価と米ドルの逆相関関係が鮮明になってきた」(花生氏)。
逆相関が崩れた時期もある。2005年以降、昨年末くらいまでは、NYダウ高=円安・米ドル高、NYダウ安=円高・米ドル安の順相関だった。花生氏はこの要因を円の特殊事情とみる。「オイルマネーも含め、低金利の円を借り入れた上でこれを売り、リスク資産買いに振り向ける高レバレッジの円キャリートレードが市場を席巻。リスク資産上昇時には円売りが活発化し、円安・米ドル高方向に動いた。金融危機に見舞われた昨年は円キャリートレードのポジション手仕舞いが進行。円が買い戻されたので、米株安と円高・米ドル安が同時進行した。円キャリートレードが鎮静化した今年は再度、逆相関の関係に戻ってきた」(花生氏)。 花生氏は、1ドル=90円前後の水準から円相場が反転して円安に向かうには、NYダウの動きとは別に、円キャリートレードの復活と、日本経済のデフレ懸念が払しょくされ日本株相場が上昇して、円を売って海外資産に投資するよう国内投資家のリスク許容度が上がる必要があると指摘する。「円キャリートレードが復活するには、米中央銀行の利上げに関する思惑が醸成され出すことが必要。日本株相場が上昇基調に転ずるには、政府が本格的な景気刺激策を実施することが条件になるとみている」(花生氏)。 仮に、NYダウと米ドル・円相場の逆相関関係が今後も続くとすると、NYダウの値上がり益を円高のマイナス要因が相殺することになるが、反対にNYダウの下落は円安のプラス要因で緩和される。結果的に、NYダウと米ドル・円相場の分散効果が働き、円換算のNYダウはNYダウよりも変動がやや緩やかになる。一方、NYダウと米ドル・円相場の関係が順相関に変わると、NYダウと米ドル・円相場は共振しあい、価格変動リスクが増大する可能性がある。 NYダウとは。19世紀末から20世紀、21世紀に続く米国資本主義の変遷を映しだす株価指数。指数の計算方法は日経平均が採用している“ダウ式”修正平均株価方式。 “NYダウ”の正式名称は“Dow Jones Industrial Average (DJIA)”。日本後に直訳すると”ダウ・ジョーンズ工業株30種平均“となるが、いわゆる第2次産業の工業株のみを組み入れるのではなく、金融、コンピュータ、通信、消費、医薬品、サービスなど、米国を代表するグローバル企業30社の株価平均の動きを示す指数だ。 指数の算出開始日は、今から遡ること約113年前の1896年5月。当時の時代背景は、米国では西部開拓期の終盤にあたり、欧米の列強が領土拡張を競い合う覇権的な帝国主義に傾斜し始めた時だ。この頃の日本は富国強兵による近代化を推し進めた明治時代。日清戦争後、日露戦争前にあたり、ちょうど著名歴史小説の司馬遼太郎作「坂の上の雲」の登場人物が活躍した頃に重なる。 30社にはニューヨーク証券取引所の上場銘柄が多いが、NASDAQ銘柄も含む。1999年11月にNASDAQ上場のマイクロソフトとインテルが採用された。現在のNASDAQ銘柄はこれにシスコ・システムズが加わっている。NYダウのサイト(英文、http://www.djaverages.com)によると、2009年11月末時点の30銘柄を業種区分すると、大分類で9業種、小分類で23業種に分かれ、様々な業態の企業から構成されていることが分かる。09年6月には、経営破綻したGM(ゼネラル・モーターズ)が指数から除外され、自動車メーカーが指数銘柄から姿を消した。113年前は12銘柄でスタート。綿・砂糖・タバコ・ゴム・ガス会社などだ。この時指数に採用され、現在も採用されているのはGE(ゼネラル・エレクトリック)の1社のみ。米国の株式市場、資本主義の変遷を映しだす。 指数算出開始日のNYダウは40.94(米ドル)。113年たった2009年11月末は10344.84(米ドル)。この間、上昇や下落、急騰や暴落、こう着を繰り返しながら、指数値は約250倍に成長。113年間を通じた収益率は年率換算(複利ベース)で約5%と計算される。 NYダウを開発したのは、チャールズ・ダウ氏。ダウ・ジョーンズ社およびウォール・ストリート・ジャーナル誌の共同創業者の一人だ。ダウ・ジョーンズ社はNYダウの計算にあたり、“ダウ式”と呼ぶ計算方法を編み出した。日経平均株価が採用している計算方法(修正平均株価)だ。日経平均は以前まで“日経ダウ平均株価”と呼ばれていた時代もある。30銘柄の株価平均は単純には30銘柄の株価合計を銘柄数の30で割った値になるが、株式の分割が発生したり採用銘柄の入れ替えなどがあると、30で割り続けたのでは指数の連続性が維持されない。連続性を維持するために、ダウ式修正平均株価は株価合計を除数(Divisor)と呼ぶ係数で割って計算する。ダウ・ジョーンズ社はこの除数の計算方法を確立した。NYダウが30銘柄構成になったのは1928年11月。この時の除数は30ではなく16.67だった。現在の除数値は0.1台まで縮小している。構成銘柄の見直しと選定はウォール・ストリート・ジャーナル誌の編集担当者が行っている。 NYダウの歴史や構成銘柄の変遷などは、NYダウのサイトに詳しく載っている。NYダウをポートフォリオ(ファンド)と見立てると、基本的に30銘柄を等株数組み入れたファンドに相当することになる。このため、NYダウの変動率は株価水準の大きな銘柄の変動の影響を受けやすい。これは日経平均の値動きにおいて値がさ株の寄与率が大きいことと同様だ。09年11月末時点では、最も株価の高いIBMの組み入れ比率が最大で約9.2%、最小組み入れ比率はアルミニウム関連のアルコアの約0.9%。 NYダウのサイトの“Milestones”には、過去113年間での1日間や年間の最大上昇率や最大下落率などが掲載されている。1日での最大上昇率は1933年3月15日の15.34%。ルーズベルト大統領就任直後だ。1933年は年間上昇率も66.69%で過去最大。大恐慌を克服するためのニューディール政策に株式市場が大きな期待を寄せたことを物語る。直前の1931年に過去最大の年間下落率(52.67%)を記録している。1日での最大下落率は、ブラック・マンデーと呼ばれる1987年10月19日の22.61%。歴史に残る暴落の記録はいまだ破られていない。 関連記事:注目の投信(ニューフェース&フォーカス)よりETF関連を抜粋!!
執筆:QBR 高瀬 浩(掲載日:2009年12月07日)
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