|
|
投資信託 [ 注目の投信 ]ソーシャルブックマークに登録:
【第146回】投信フォーカストレンドはブラジルからアジアへシフトか――新興国株ファンド最新動向アジア株投信の新規設定が昨年後半から急速に増えている。足元では中国やインドの景気が先進国より一足先に回復し始めたうえ、将来的には両国が世界経済の牽引役になるとのシナリオが相次ぐアジア株投信設定の背景にあるようだ。
※International Monetary Fund, World Economic Outlook Database, October 2009より作成
※残高は2月末時点 消費関連や環境関連の株式に投資するなどバラエティー豊富に アジア株投信(※1)は2月末時点で60ファンド、残高の合計は約7700億円とこの1年間で7割強増加した。同地域に投資するファンドは以前から存在し、投資先としては目新しさに欠けるものの、最近は中小型株に選別投資するタイプのほか、消費関連株や環境関連株に投資するなど切り口に変化をもたせている。インドネシアに焦点を当てたファンドが増えてきたのも最近の傾向だ。例えば、3月12日に設定されたソシエテジェネラルアセットマネジメントの『アムンディ・チャインドネシア株投信』は、アジアの中でも特に高成長が期待される“チャインドネシア”(中国、インド、インドネシア)に投資する。同社では「国内公募ファンドで投資先をチャインドネシアに絞ったのは初めてだろう」という。3月は同ファンドを含めて5本のアジア株ファンドが登場する。 ※1 複数のアジアの国・地域(オセアニア含む)の株式に投資するファンド。中国株、インド株のみに投資するファンドおよび償環ファンドは対象外 相対的にイメージが良いブラジル? アジア株投信以外では、ブラジル株ファンドの人気が健在だ。今年に入ってからは『野村ブラジル・インフラ関連株投信』の当初設定額が796億円と大きくなり話題になった。投信を販売するある証券会社では、「中国経済の成長力には目を見張るものがあるが、中国製冷凍ギョーザの中毒問題など中国に対する個人投資家のイメージがあまりよくない。一方、ブラジルは遠い国だが好感を持っている個人投資家が多いようだ」という。 2016年の夏季五輪開催地にブラジルが決定したことや、さらに昨年はブラジル株が中国株やインド株を小幅だが上回る上昇率を見せたことも注目を浴びる理由だろう。ブラジルの代表的株価指数であるボベスパ指数(現地通貨ベース)は09年に約83%上昇し、ブラジルレアル・円相場は約39%の円安だった。ブラジルなど中南米株に投資するファンドの数は20本で残高は8400億円強と、1ファンド当たりの規模が大きくなっている。 ETFでBRICsの各株式市場へ投資することも可能 新興国株に投資するファンド(※2)は全体で約250本、残高は合計約4.4兆円と公募の追加型株式投信の残高47.1兆円(2月末時点)の9%を占有する。投資先が広がり、今では国内から様々な国に投資することが可能となった。上場投資信託(ETF)の品数も徐々に増加し、BRICs諸国や南アフリカに低コストで投資できるようになった。 ※2 エマージング株投信、アジア株投信、インド株投信、中国株投信、中南米株投信、東欧・ロシア株投信、中東・アフリカ株投信のいずれかに属するファンド
運用成績持ち直し1年騰落率大きく上昇 新興国株ファンドを対象とした2月末までの1年騰落率では、ロシア株に投資するファンドの上昇が目立った。ランキングのトップは『JPMロシア・東欧株ファンド』で約153%の上昇。国内公募追加型株式投信全体の運用成績を示す『QUICK投信平均 総合』の上昇率約22%や、日経平均の上昇率34%と比較すると大きく上昇したことがわかる。 アジア株投信の中では、『JFアセアン成長株オープン』が84%上昇しトップだった。2月から中国本土のA株に連動する証券に投資する『中国A株ファンド』の販売を開始したエース証券の中島健商品企画部長は、「新興国が先進国に成長する過程では通貨が強くなる。これは歴史的に繰り返してきた事実。株式の収益だけでなく為替差益も期待できる」と説明する。ただ、逆のケースももちろんある。新興国株の値動きは大きくなりがちだ。投資する際は資産の一部を新興国株に振り分けることが安全策といえよう。
関連記事:中国・アジア新興国特集
執筆:QBR 根岸てるみ(掲載日:2010年3月17日)
|