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インドネシア債に投資するファンドが登場――HSBC投信の新ファンド

HSBC投信が国内初のインドネシア債券に投資する『HSBCインドネシア債券オープン(毎月決算型)』を8月26日に新規設定する。同社の山本賢司取締役・営業企画本部長は、「インドネシアの現地通貨建て1年物国債の利回りは7%台と高いうえ、経済も堅調」とインドネシア国債の魅力を語った。

毎月の分配金額は50〜70円程度を想定

同ファンドは主にインドネシアルピア建ての国債および中央銀行保有国債に投資する。実質的な運用はHSBCグループのシノピア・アセット・マネジメント(アジア・パシフィック)リミテッドが行う。

モデルポートフォリオの平均利回りは8.7%で、ここからコストなどを差し引いた分配可能額は毎月およそ50〜70円(1万口当たり、税引き前)程度となる見込み。毎月分配型の外債ファンドの中で最近人気を集めているのは、分配額が相対的に高い通貨選択型やブラジル債券に投資するタイプ。通貨選択型で残高が最大の三井住友アセットマネジメント『SMBC・日興ニューワールド債券ファンド(ブラジルレアル)』(6月末の残高:4870億円)の7月の分配金は130円(1万口当たり、税引き前)、ブラジル債券ファンドで最大規模の大和投信『ブラジル・ボンド・オープン(毎月決算型)』(同:5534億円)は120円だった。

インドネシア国債の市場規模は約10兆円

インドネシアは昨年の株価高騰(ジャカルタ総合指数が09年の年間で87%の上昇)により株式市場が注目を浴びたが、同国の債券が日本国内でクローズアップされることはこれまであまりなかった。インドネシア国債の市場規模は10.3兆円(2月時点)でこのうち、現地通貨建て国債の市場規模は8.4兆円だ。山本氏は「インドネシアの実質金利(=名目金利―物価上昇率)の水準は約3%と、主要国の中ではブラジルの3%台半ばに次ぐ高さだ。また、経済が堅調なため、今後金融引き締め傾向となれば金利が上昇する可能性もある」という。一般的に名目上の金利が高くても消費者物価上昇率が高い場合、中長期的にその国の通貨への投資価値は目減りする。このため、HSBC投信では実質金利も参考にしている。実質金利が高いと、通貨の理論価値は高くなる。

格付けはスタンダード&プアーズ(S&P)が自国通貨建てソブリン債で『BB+』、ムーディーズ・インベスターズ・サービスが「Ba2」といずれも投資適格の水準まであとわずかだ。海外投資家のインドネシア債の投資比率は年々増加し、2004年5月の3%から足元の2010年5月には25%まで拡大した。

ASEANの大国として復活の兆し、中国との良好な関係も経済発展に寄与

国際通貨基金(IMF)の調査によると、インドネシアの実質国内総生産(GDP)はアジア通貨危機を受けた1998年に前年比13%のマイナスと大きく落ち込んだものの、その後は平均で約5%のプラス成長を遂げている。2010年の実質GDP成長率は前年比6%の見込みだ。

こうした堅調な経済の要因として、ユドヨノ政権による政治の安定化を挙げる声が多い。同社・投資情報部の孕石健次部長は、「国軍の独裁体制から民政移管が実現した後に軍と民主派の対立が続いていたが、ユドヨノ大統領はこれを解決した。元参謀総長で軍のナンバー2であった同氏だからできたこと」と説明する。

さらに、スハルト政権時代に国交が凍結していた中国との関係が正常化したこともインドネシア経済には大きなプラス。ASEANと中国が今年1月に自由貿易協定(FTA)を締結したことも追い風だ。今後は2ケタの高成長を遂げる資源消費大国の中国を相手に天然資源の輸出増加が期待されている。

一方、インドネシアの問題点として孕石氏は、「汚職を生む膨大な官僚組織の解体が残っている。経済の持続的な発展のためには行政改革を進めるべき」と指摘する。


執筆:QBR 根岸てるみ(掲載日:2010年07月30日)


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