投資信託 [ 注目の投信 ]

【第34回】ファンド逸品セレクション「投信の資金流入トレンド」
 

金融商品取引法施行により、投信への資金流入鈍化

 
公募投信の残高は82兆1521億円(2007年10月末時点)となり、年初と比較して13兆円ほど増加しました。ただ、資金流入(表1、※)をみると、9、10月はこれまでの流入の勢いがやや衰えました。
これは、9月末に金融商品取引法(以下、金商法)が施行されたことで、投信販売にブレーキがかかっているからだと思われます。
(表1)投信への資金流入額(2007年1月〜10月、月間値)
(表1)投信への資金流入額(2007年1月〜10月、月間値)
「金商法」は、多様な金融商品・金融サービスについて、包括的・横断的な投資家保護ルールなどを整備することを目的として制定された法律です。特徴的なことは、金融機関がリスク商品の販売・勧誘を行う際に守らなければならないルールを従来と比べ、より厳しく定めている点です。
リスク商品の勧誘・販売ルールでポイントとなるのが、「適合性の原則」です。「適合性の原則」では、“ 金融機関が、投資家の年齢収入金融資産投資経験リスク商品に対する理解度などに照らして、不適当な勧誘を行ったり、投資家保護に欠けるような行為をしたりしてはならない ”とされています。
そのため、金融機関が販売側の都合で、投資家の視点に立たずに投信をドンドン販売する、という状況ではなくなりました。
また、契約締結前交付書面や顧客カードなどのチェック書類が増えたことで、投信販売時に店頭の事務作業が一部混乱していることも投信販売にマイナスに影響しています。
金商法施行により、今後数ヵ月は投信への資金流入が伸び悩む可能性がありますが、ただ、長期的には、金融機関が投資家本位の営業を行うことで、投資家の信頼が高まり、金融業界、投信業界にとって金商法がプラスに影響すると考えられます。
(表2)投信のタイプ毎の資金流入額(2007年1月〜10月、月間値)
(表2)投信のタイプ毎の資金流入額(2007年1月〜10月、月間値)
 

「資産分散型」、「海外株式型」が人気

 
追加型株式投信約3000本を「日本株式型」、「海外株式型」、「海外債券型」、「REIT型など」、「資産分散型」の5つのカテゴリーに分けて、資金流入動向を調査しました。この1年、「資産分散型」ファンド、「海外株式型」ファンドに、資金が大量に流入しています。
「資産分散型」ファンドとは、株式や債券、REITなど複数の資産に分散投資するファンドです。このタイプはリターンが小さいものの、リスクも小さいことから、投資経験が比較的浅い投資家に支持を得ました。
「海外株式型」ファンドでは、配当利回りの高い株で運用するファンドや、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)など新興国の株式に投資するファンドへの資金流入が目立ちます。高配当利回り株ファンドは定期的な分配するスキームが人気となっているようです。また、新興国株ファンドは中東地域やアフリカなど、投資先が拡大していることも新たな投資チャンスを狙う投資家の関心を集めました。
また、「海外債券型」ファンドは8月から資金流入が増加しています。急激に円高になったことで、投資家の押し目買いが入っているようです。
一方、「日本株式型」ファンドは資金が流出気味です。日本株に投資したい人は、投信ではなく、直接、個別株に投資する傾向があります。
 

「資産分散型」ファンドの日本株投資部分のマーケットインパクト

 
投信は、日本の株式市場にとって重要なプレーヤーの1つといえます。
しかしながら、表2の「日本株式型」ファンドへの資金流入状況を見ると、株式市場に対して影響力がそれほど大きくないことがわかります。
現在、株式市場への影響力が注目されているのは、「資産分散型」ファンドの日本株投資部分です。銀行窓販中心に「資産分散型」ファンドの残高が急拡大したことで、「日本株式型」ファンドより、「資産分散型」ファンドの日本株投資部分がマーケットに強いインパクトを与えました。
<イメージ図>
イメージ図
※イメージ図であり、実際の残高や資金流入額を表したものではありません。
執筆:QBR 清家武(2007年11月)
掲載日:2007年11月28日

この特集のバックナンバー

投資信託 記事一覧

 

ページの先頭へ戻る

MoneyLifeインフォメーション