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トップ > 株式 > 中国・アジア新興国特集 > 中国投資プロの視点!経済最新動向 中国・アジア新興国特集 [ 中国投資プロの視点!経済最新動向 ]ソーシャルブックマークに登録:
【第2回】金融引き締め下で銀行・不動産から資源・輸出セクターにシフト――司馬毅氏2月12日午後7時(中国時間午後6時)、中国人民銀行は預金準備率の引き上げを発表して一週間の旧正月休みに入った。1月に続き、1カ月以内の2度目の引き上げである。金融引き締め姿勢を強めている中国――。株式市場はどのような影響を受けるか、中国株の投資戦略はどのように練るべきなのか。日本最大の中国株ファンドの運用経験をもち、現在香港を拠点とするトリスケル・キャピタル・マネジメントの司馬毅CIOに聞いた。 ■2度目の預金準備率引き上げで金融引き締め姿勢が鮮明に中国人民銀行は旧正月休み前日の2月12日に今年の2度目の預金準備率の引き上げを発表しましたね。
司馬 毅さん 司馬: 2009年10-12月の実質GDP成長率と、12月の消費者物価上昇率はいずれも市場コンセンサス予想を上回りました。中国政府は2010年の新規銀行貸出目標を、09年の実績9.6兆元を大きく下回る7.5兆元と設定したにもかかわらず、銀行貸出の増勢は衰えていません。1月の新規銀行貸出はすでに1.39兆元と年間目標の約2割を消化してしまいました。例年1-3月は、貸出が最も増える時期なので、ここで抑えられたら年間目標の達成も容易になります。今回の預金準備率の0.5%の引き上げにより、約3,060億元の流動性が吸い上げられると試算されています。
今後、一層の金融引き締めは考えられますか。 司馬: 足元で利上げ予想は急速に広がっており、貸出規制の一層の厳格化の可能性も高いでしょう。今後の数カ月に少なくともさらに100ベーシスポイントの預金準備率の引き上げと貸出の窓口指導があると思います。また早ければ4-6月に金利引き上げが実施されると見ています。 ■金融引き締めの中国株への影響は限定的金融引き締めは中国株式市場にどのくらいの影響を与えますか。 司馬: 預金準備率の引き上げは、実体経済ならびに企業業績への影響は限定的だと考えます。株式市場は、金融引き締めよりも企業収益の回復ペースを好感するでしょう。前回の金融引き締め期に当たる06年4月から07年の間に、7回の金利引き上げと12回の預金準備率の引き上げにもかかわらず、上海総合指数は300%、香港H株指数は200%も上昇しました。 今年に入って、中国株は調整色を強めていますが。
司馬: MSCI中国指数は今年1月に8.5%下落し、2008年10月以来の最大の月間下落率となりました。上海深セン300指数は09年11月23日のピークから約16%調整し、H株は11月18日から約21%下落しました。中国の預金準備率の引き上げが予想外の早い時期に実施されたことに加え、米国の金融規制の強化、ギリシャをはじめとする一部欧州諸国のソブリンリスクへの懸念などが背景です。足元の株価下落は、09年初からはじまった長期的な上昇相場の中での調整局面だと判断しています。市場の調整は今後数カ月続くと見ていますが、下半期に再び上昇に転じる見通しです。好調な企業業績が市場をサポートすることになります。 ■信用取引と株価指数先物の導入はA株市場にとって好影響が多い中国政府は信用取引と株価指数先物の導入を正式に決め、早ければ3〜4月にも取引が開始する予定ですが、中国株市場にどのような影響を与えますか。 司馬: A株市場に信用取引と株価指数先物の導入は中国の証券市場の発展にとって画期的な出来事です。長らく待たれていたこの動きに対し、中国国内のセンチメントは良好です。短期的に、大型株や、指数構成銘柄、証券株への買いが増え、A株相場を押し上げる要因となるでしょう。また、ヘッジ手段が提供され、市場全体の流動性が増える意味で、市場のボラティリティが低下し、より効率的な市場に発展することが期待されます。 ■2010年はエネルギーセクターと輸出セクターに投資妙味現状の経済・政策環境を受け、貴社ファンドのポートフォリオは何か変更がありますか。 司馬: 1月にポートフォリオに占める不動産銘柄の比率を引き下げました。不動産株は昨年11月までに大きく上昇しましたが、資産バブルへの懸念に伴った不動産価格抑制策を嫌気し、下落に転じました。政府は不動産購入に関する税優遇措置の撤廃や二軒目の物件購入の頭金比率の引き上げを実施しました。昨年に比べ、不動産株の割安感はありますが、政策面で不動産セクターにとって不利な材料が当面続くと考えています。 また、ポートフォリオから銀行株を一時的に除外しました。近い将来、より割安な価格で購入できると考えているからです。中国の銀行監督当局は、昨年8月に銀行の自己資本比率規制の厳格化を検討しています。中国の銀行は資産を急拡大してきたため、多くの銀行は自己資本比率の基準を満たすには増資または劣後債の発行に踏み切らなければなりません。増資による需給悪化の懸念や預金準備率の引き上げで、銀行株はしばらくアンダーパフォームが続くでしょう。増資などの活動が一巡した後、購入の好機と捉えています。 ポジションを増やしたセクターはどこですか。
司馬: 昨年末以降、輸出セクターとエネルギーセクターのポジションを増やしています。中国の輸出は13カ月間の前年同月比減少を経て、09年12月に前年同月比17.7%増に回復しました。輸入は55.9%の増加でした。いずれも市場予想を大幅に上回りました。原油と鉄鉱石の輸入がそれぞれ113%、74%の大幅増となり、中国国内の生産活動が活発化していることの証です。世界景気回復に伴い、2010年の輸出の回復ペースは加速すると思います。 エネルギーセクターに関しては、昨年末に中国の太陽光発電企業を訪問した後、太陽光発電関連銘柄のポジションを増やしました。世界需要の回復を受け、中国の太陽光発電企業の稼働率は上昇しています。ドイツ環境省は今年、太陽光発電の買い取り価格を引き下げたため、太陽電池メーカーにとって価格面のプレッシャーが高まります。しかし、低コストの中国系太陽電池メーカーにとっては、需要回復に伴う数量の増加が価格の低下分を相殺することができるでしょう。 中国株市場全体で見ますと、今年前半は金融政策の不透明性から、投資戦略を考える上でやや難しい市場となりますが、年後半には政策や企業業績もはっきりしてくるので、セクターの選別も比較的に容易になるでしょう。 プロフィール : 司馬 毅(Shiba Tsuyoshi) 卓司高資産管理有限公司(トリスケル・キャピタル・マネジメント) チーフ・インベストメント・オフィサー(CIO) 2006年7月に香港でトリスケル・キャピタル・マネジメントを設立し、中国株ファンドと中国CBファンドの運用責任者。その前は三井住友アセットマネジメントで中国株ファンドの運用を担当、担当期間中の同ファンドの運用資産残高は10億米ドルを超す日本最大の中国株ファンドである。司馬氏はファンドマネジャーに転身する前は、エコノミストとして中国、日本、米国経済の調査研究に従事し、マクロ経済の造詣も深い。過去5年間だけで、司馬氏は1,000社以上の中国企業を訪問し、中国企業の事情に精通するだけでなく、中国の産業界と証券業界に広い人脈を持つ。上海生まれ。日本証券アナリスト協会検定委員。 聞き手:李 粹蓉/株式会社ニーズ 主席研究員(掲載日:2010年03月08日) ― 取材後記 ―
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