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トップ > 株式 > 中国・アジア新興国特集 > 中国投資プロの視点!経済最新動向 中国・アジア新興国特集 [ 中国投資プロの視点!経済最新動向 ]ソーシャルブックマークに登録:
【第5回】欧州ソブリン危機に促される中国の構造調整――盧澤邦氏世界の金融市場を揺るがした欧州のソブリン危機がいまだに終息していない中、順調に回復の軌道をたどっている中国経済はどんな影響を受けるのか。6月19日に中国人民銀行が人民元の弾力化を発表した。今後の人民元相場の見通しは。建銀国際アセットマネージメントの盧澤邦さんに聞いた。 ■欧州ソブリン危機の中国輸出への影響は限定的最近の欧州ソブリン危機が中国経済に与える影響は。
盧さん 盧: 中国の輸出が打撃を受けるという見方が一般的ですが、私は限定的だと思います。第一に、欧州は中国の主要な輸出相手国ではありません。新興国はすでに欧米を取って代わって中国の主要輸出相手地域になっています。欧州向け輸出はまだ中国の輸出の約20%を占めていますが、新興国のシェアは2004年の18.8%から09年の27.5%に上昇しており、今年第1四半期には29%前後に達しています。第二に、中国製品のコスト面の優位が低下していない点です。ユーロ安が欧州の製造業の回復を助け、中国製品の輸入を減らすという論点があります。しかし、欧州に輸出される中国製品は繊維品や家電など労働集約型製品が中心で、中国の賃金は欧州より10〜20%安い。最近、中国で賃上げを求めるストライキが発生していますが、中国の賃金面での優位は弱っていません。 ■中長期的に構造調整が促される中長期的な影響はどう見ていますか。 盧: 中国にとってむしろプラスになります。まず、外国との交渉力が強まることです。現在、中国の外貨準備高は2兆ドル超で世界最大になっています。外貨準備高の通貨別構成は国家機密ですが、市場の推計では米ドルが約70%、日本円が約10%、ユーロと英ポンドが約20%となっています。中国政府は最近、引き続き米ドル国債を購入し、ユーロ資産を減らさないと表明しましたので、短期的に外貨準備の通貨別構成に大きな変化がないと思います。この膨大な外貨準備高は、2008年の世界金融危機以降、中国政府が諸外国との交渉の際の有効な手段になっています。 二つ目は中国経済の構造転換の促進です。世界金融危機を経て、中国政府は、世界の工場という役割はもはや経済成長の妙薬でなくなり、経済成長を持続させるには構造転換が必要だと認識しています。2009年から、中国政府は頻繁に構造調整に関する政策を打ち出しています。省エネルギーや、環境保全、新エネルギー、都市化など全方位的な政策で、供給と需要の創出につながります。構造調整を通じて、中国は、労働集約および低レベルの粗放的な経済から、内需主導で核心技術をもつ国に転換することができるでしょう。また、構造調整の中で生まれる新産業が今後の有望な投資対象になります。 ■構造調整と都市化に伴う新規投資で不動産抑制策の負の影響を相殺国内に目を転じると、不動産抑制策の中国経済への影響が注目されていますが。 盧: 政府の4兆元の巨額な財政政策の出動で、中国経済はすっかり回復しています。世界的な低金利、原料高、国内の不動産価格の高騰などを受け、中国政府が引き締め方向に動いたが、それは想定内のことであり、引き締めによってより安定的で健全な経済成長が確保できます。今の抑制策は不動産セクター全体を対象としているものではなく個別の過熱している市場を抑えるのが目的です。また、インフラ投資の需要が旺盛なので、不動産抑制策の負の影響を補うことができます。例えば鉄鋼の54%、セメントの65%の需要が不動産・インフラ分野ですが、そのうちインフラは約30〜50%を占めると推計されています。銅やアルミ、ガラスなどほかの素材の需要に占める不動産の割合はさらに低いでしょう。4兆元の財政政策の中のインフラプロジェクトの多くは2010と2011年に実施される予定で、経済成長の下支えになります。 中国政府は不動産セクターの過熱を抑える政策を採りつつ、構造調整や都市化政策を進めています。構造調整と都市化に伴って投資が増え、短期的に経済成長の新しい原動力となるだけでなく、長期的に経済発展の礎となります。こうした点を含めて考えると、市場は不動産抑制策の中国経済に与える負の影響を過大評価していると思います。 ■人民元の弾力化発表も急激な元高の可能性が低い6月19日に中国人民銀行が人民元相場の弾力化を発表しましたが。 盧:
人民銀行総裁は今年3月、2008年7月に人民元相場を対ドルに固定したことは世界金融危機に対応するための臨時措置だと表明しました。通貨バスケットに基づいた変動に戻ることは、中国政府が世界経済の先行きひいては中国の経済成長と貿易に対し、以前よりも自信を持っていることを示唆しています。 今回の発表について、市場では、中国が人民元の対ドルレートの上昇を容認すると解釈されています。しかし、人民元相場が通貨バスケット制に基づいて変動するということは、円やユーロなど米ドル以外の通貨が下落すれば、人民元も下落するということになります。実際、今年、ユーロは対人民元ですでに17%下落しました。また、輸出の高い伸び率(今年5月に前年同月比で約50%増)にもかかわらず、中国の貿易黒字の対GDP比は、内需(投資と消費の両方)が強いため、2007年の7.5%から2009年の4%に低下しました。貿易黒字の減少は、元高圧力を和らげることができます。人民元の弾力化の発表に対する市場の反応は、急激な元高の可能性に傾けすぎたようです。今後、人民元相場はより弾力的に動くことになるが、上昇幅はファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)に左右されるでしょう。 プロフィール : 盧 澤邦(Alfred Lo) 建銀国際アセットマネージメント Deputy Managing Director(董事副総経理) 日本を除くアジア市場で24年間の投資運用経験を持つ。Fidelity Investments, Union Bancaire Asset Management, Impac Asset Management, Rothschild Asset Management HK、申銀万国アセットマネージメントで、アナリスト、ポートフォリオマネジャー、インベストメント・ディレクタなどを歴任し、ロンドン、シドニー、シンガポール、香港での駐在経験をもつ。幅広い業界知識と鋭い調査分析力に定評がある。日本では藍澤証券の中国A株ファンドの組成と運用に携わった。米オハイオ大学MBA(経営学修士)。 聞き手:李 粹蓉/株式会社ニーズ 主席研究員(掲載日:2010年07月12日) ―取材後記―
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