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中国・アジア新興国特集 [ インド ]

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インド投資と2010年の展望

秋の日のつるべ落としも然もありなん、と思われるくらいの金融危機が世界を襲ったのが一昨年の9月でした。ビデオテープの画面が止まったごとく、世界中の経済活動が一時的に止まったかのような錯覚に陥り、1930年代の世界恐慌の再現、又は百年に一度の経済危機とも言われました。インド経済も過去の栄光はいずこやら、6%台の経済成長にまで落ち込み、BRICsに代表される新興国市場の破竹の勢いも、最早これまでかと思われました。

それが一年経った現在では、当初騒がれたほど世界経済が疲弊したわけではなく、インド株式市況などは既にリーマン・ショック以前の水準に戻り、一部ではここ一年くらいで史上最高値も狙えるとの観測も出ています。国際通貨基金(IMF)の統計によりますと、1997年から2009年までの12年間でインドの国内総生産(GDP)は約3倍になっています。日本はといえば18.5%しか伸びておらず、12年間という時間の経過を考えると、ほぼ横ばいという感じでしょうか。

その辺を踏まえると、1929年10月のアメリカの株価大暴落で始まった世界恐慌時代と現在の違いは、当時世界最強であったアメリカは厳然として存在するが、近年ではその他の国、特にBRICsに代表される新興国等の台頭があり、アメリカ経済の抜きん出た優位性は最早存在しなくなった、と表現できます。

ちょうど一年前、「CHANGE」という言葉と共に歴史を塗り替えたオバマ米大統領が昨年11月に来日した際の東京演説で「バランスの取れた経済成長を追及しなければならない」と宣言しました。その意味は、「米国民の消費に頼った不均衡な成長には永続性が無い」ということです。第一三共が08年秋、印製薬最大手でジェネリック(後発薬)に強いランバクシーを大型買収したのも米国市場だけに頼らぬ世界戦略の一環です。現状、60兆円とも言われる世界医薬品市場の約8割を先進国が占め、BRICsの合計は約6%(3.6兆円)です。しかし、20年後の2030年BRICs市場は現在の10倍(36兆円)になるとの推定です。人口動態的に見ても、少子高齢化する先進国より、まだこの先25年ほどの期間人口ボーナスのもらえるインドなどへの投資が活発になることは疑問の余地が無いでしょう。すなわち、ここ数年ではなく、10年、20年先を見越した投資戦略が求められているのです。その意味で今年は、将来有望な企業を発掘し、長期的先行投資を行う絶好の機会を提供してくれるものと思われます。去年では早過ぎ、来年では遅過ぎる。2010年はそんな年になるのではないでしょうか。


(掲載日:2010年02月01日)

プロフィール : 島田 卓 Takashi Shimada
株式会社インド・ビジネス・センター 代表取締役社長
1948年埼玉県生まれ。1972年明治大学商学部卒業後、東京銀行ニューデリー支店次長を経て、1997年より現職。講演やTV、ラジオ等のメディア出演ほか、新聞、雑誌等への寄稿多数。著書に「日本を救うインド人」(講談社)、「スズキのインド戦略」(監訳/中経出版)、「超巨大市場インド」(ダイヤモンド社)など。

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