|
|
トップ > 株式 > 中国・アジア新興国特集 > インド ニュースの裏側(インド紙社説) 中国・アジア新興国特集 [ インド ニュースの裏側(インド紙社説) ]ソーシャルブックマークに登録:
【第10回】印韓関係強化に向けた更なる努力を交渉開始から3年以上経ってもインドとのFTA(自由貿易協定)が締結できない日本。先行する韓国とインドとの関係強化はどう進んでいるのか。 先週インドは、20年間にわたり関係強化に努めてきた韓国との間で、その集大成としての民生用原子力協定を締結した。印韓両国には長期にわたる歴史的文化交流はあったが、密度の濃い交流が始まったのはインドが市場開放した91年以降である。それ以前の1960年年代には、インドの計画経済手法を学ぶため自国の経済学者をインドに派遣していた韓国だが、故ラオ首相が1993年に同国を訪問するころには驚くほどに製造業の力をつけていた。それから10年足らずで、現代、サムスンやLGに代表される韓国ブランドは、インド市場では知らない者がいないまでの確固たる地位を築き、先行する日本や欧米企業を脅かす存在までになった。 したがって、インドが1998年に核実験を行なった際、韓国は日本とアメリカからの圧力を撥ね退け、わが国に対する経済制裁を果たさなかったことは、納得のいくことであった。さらに、今年1月26日、国家行事であるインド共和国記念日の主賓として韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領を招き、それに先立つ1月1日には包括的経済連携協定(CEPA)を発効させ、両国の戦略的パートナーシップ強化を世界に知らしめた。 その一方で、韓国の鉄鋼大手ポスコが計画しているオリッサ州での120億ドルの製鉄所建設計画が一向に進まないのは残念なことだ。同計画は印韓関係を促進するだけではなく、オリッサ州の産業発展に大きく寄与することは疑いないことから、同州政府は住民の理解を図ると共に、速やかに同計画を推し進めるべきである。それによってインドの鉄鋼生産量の増加も図ることができ、印韓関係もより強固なものになる(6月22日付ビジネス・スタンダート紙社説)。 株式会社インド・ビジネス・センター代表取締役社長 島田卓コメント
印韓両国の思惑は大筋で一致しよう。韓国は北朝鮮とのつばぜり合いや、背後の中国との微妙な関係があり、一方のインドもパキスタンをサポートする中国とは国境問題でくすぶっている。印韓両国の関係強化は必然で、日本企業には脅威だ。 1997年のアジア通貨危機から2009年の12年間で中国のGDPは5倍に、インドは3倍にと、両国の経済発展は急伸している(日本は18%増)。貧困撲滅を政治課題とする印政府にとって、雇用を増やすための経済拡大は必須で、そのため大躍進が期待できる自動車産業などが必要とする鉄鋼の供給は自国でまかないたいのが偽らざるところ。 であれば、州政府頼みではなく、中央政府も積極的にポスコなどの進出計画を後押ししたいところであろうが、票田である地方住民への配慮もあり、思うに任せないのが現状。中央がどこまでリーダーシップを発揮できるか、インド経済の今後の成長を占う試金石にもなる。 (掲載日:2010年07月20日)
プロフィール : 島田 卓 Takashi Shimada 株式会社インド・ビジネス・センター 代表取締役社長 1948年埼玉県生まれ。1972年明治大学商学部卒業後、東京銀行ニューデリー支店次長を経て、1997年より現職。講演やTV、ラジオ等のメディア出演ほか、新聞、雑誌等への寄稿多数。著書に「日本を救うインド人」(講談社)、「スズキのインド戦略」(監訳/中経出版)、「超巨大市場インド」(ダイヤモンド社)など。 この特集のバックナンバー
|