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トップ > 株式 > 中国・アジア新興国特集 > タイ 躍進する経済 魅力の源泉をさぐる 中国・アジア新興国特集 [ タイ 躍進する経済 魅力の源泉をさぐる ]ソーシャルブックマークに登録:
【第3回】タイのなかのニッポン タイ経済の現状と課題タイには数多くの日本人が暮らし、日系企業は一説によると7000社にも及ぶといわれる。製造業以外の参入には高い障壁があるが、タイへ進出する日系企業はあとを絶たない。タイのなかの“ニッポン”と、タイ経済の現状・課題を、日本貿易振興機構JETROバンコクセンターの根本裕之次長と鶴岡将司氏にうかがった。 (取材協力:タイ国政府観光庁、ベトナム航空、JETROバンコクセンター) 東京都バンコッ区 タイのなかのニッポン
日本貿易振興機構JETROバンコクセンター鶴岡将司氏 日タイ修好宣言が調印されたのは、今から120年以上も前のこと。現在、首都バンコクにおける在留邦人数は4万人弱と発表(外務省)されている。しかし在留届を出さないものを含めると7万人強と推定され、さらに長期滞在者も合わせると10万人近い日本人がバンコクで暮らすといわれる。「東京都バンコッ区」と呼ばれる所以だ。 在留邦人が多いのは、経済的親密度の高さに比例する。スワンナプーム新国際空港建設や市内を走る地下鉄や高速道路事業は日本のODAが利用されている。ちなみに日本からタイへの海外直接投資(認可ベース)は、世界一。累計にして2兆1248億バーツ(日本円で約6兆3千億円、1985〜2009年実績)にものぼる。 ジェトロ・バンコクセンターの鶴岡さんにうかがったところ、「バンコク日本人商工会議所には現在、約1300社が加盟しており、ジェトロの調べでは4000社近くの日系企業が活動している。他方中小の事業者を含めると、7000社に達するとの見方もある」という。製造業の参入には大きな障壁はないが、サービス業においては制限があるため、「外食産業を中心に、ジョイントパートナーを組む企業が多い(鶴岡氏)」と語る。 タイのなかに“ニッポン”は溢れている 道路渋滞が日常茶飯のバンコクでは、行き交う車のほとんどが日本車だ。「タイ国内販売ベースで約9割が日本車(鶴岡氏)」というから、日本車人気は絶大だ。今後タイ政府が推し進める「エコカープロジェクト(※)」で日本車のスモールカー人気が一層高まると期待されている。 また、日系外食産業のタイ進出もめざましい。ラーメンの「山小屋」や和食チェーンの「やよい軒」、「大戸屋」などは、いずれもタイの企業と連携し、日本とタイの双方で現地進出を果たしている。 ※排気量やCO2 排出量が一定の規格を満たす小型車のタイにおける製造・販売に税の減免などの恩典を与える奨励制度。 タイの人口構成比にみる今後の成長性と課題 タイでの事業展開について懸念される点は、近年における労働コストの急激な上昇にある。外資に頼る傾向が強いタイの産業界において、人件費の高騰は頭の痛い問題だ。その背景には、タイの人口構成比における少子高齢化が由来する。 タイの人口は現在、約6300万人。これが早くて10年後の2020年をピークに、減少に転じると予測されている。低賃金の若年労働者を確保するのが困難な状況を、近い将来迎えるのである。それに対してタイは社会保障制度が未整備であることが、ウィークポイントとしてあげられる。 鶴岡氏は「縫製など労働集約型の産業を巡る環境は厳しくなっている。他方、周辺国に子工場を設けたり、製造業を中心に、タイで研究開発機能を強化したりする傾向にある」と語り、タイを輸出拠点とする企業、マザー工場化する動きが進みはじめていることを示唆した。産業集積が高い点で、近隣諸国と比較をすれば恵まれた環境にあるタイ。産業構造の転換で、さらなる成長を遂げることも不可能ではない。 そうしたなか、注目されるのは消費市場としての価値である。 タイでは近年、中間層の拡大がめざましい。世帯当たりの可処分所得が5001米ドル以上35000米ドル以下の中流家庭が、タイ人口の約半数にあたる3634万人を占めている。カラーTVや冷蔵庫、カメラの普及率は高いが、「乗用車やエアコンなどの普及率は未だ低く、耐久消費財の伸びにも期待が持てる」と鶴岡氏。 中間層の拡大はアジア全域にいえることだが、特にタイでは、この10年で中間層が倍加した。ちなみに、バンコク首都圏における一世帯当たりの平均月収は3万6745バーツ(2009年上期)で、日本円にして約10万円。これがタイ東北部では1万5165バーツと半分に満たず、地域格差が顕著である。 人口は減少傾向にあるものの、消費力をつけはじめたタイの人々。それを商機ととらえ、タイ進出を果たす日系企業があとを絶たない。 執筆・編集:千葉千枝子・QUICK MoneyLife(掲載日:2010年05月20日) プロフィール :千葉千枝子 Chieko Chiba 観光ジャーナリスト。東京成徳短大観光学講師。中央大学卒業後、富士銀行、シティバンクを経てJTB へ入社。96 年、有限会社を設立。旅と金融をテーマに、運輸・観光業全般の論評、執筆・講演活動を行う。著書に「JTB 旅をみがく現場力」(東洋経済新報社)など。 この特集のバックナンバー
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