株式 [ 投資の極意 ]

- バブル経済崩壊後の日本経済を考えてみましょう。バブル景気に沸いた1986年ごろから1991年にかけて、日本経済は円高、原油安、低金利から超金融緩和の状態が続きました。当時は地価の上昇に刺激されて大型の個人消費ブームが起こり、企業も盛んに設備投資を行いました。

- その後、「バブル経済」の終焉で、地価は下がらないという「土地神話」は崩壊し、土地を担保に貸した資金が不良債権となって日本経済の大きな足かせとなりました。日本企業が「過剰設備」「過剰人員」「過大な不良債権」に悩んだ時期です。この時期の設備投資循環と在庫投資の循環を示したのが上記のグラフです。設備投資は法人企業統計の民間設備投資のデータで前年同期比の伸び率を示したものです。このグラフを見ると1980年代末と90年代初頭に設備投資が大きく伸びましたが、その後の伸び率はマイナス20%弱からプラス10%強の範囲で推移していることが分かります。過剰な設備投資の後遺症がありましたから、基本的に設備投資は振るわない時期といえます。

- この時期、設備投資の回復が弱い中での在庫投資の循環があったことが分ります。ただ、在庫の補填が終了してしまうと景気の回復が終わってしまう弱い回復だったことが見て取れるでしょう。在庫循環と設備投資循環がチグハグであったことも見て取れます。在庫投資が盛り上がった時に設備投資は衰退局面にあり、在庫投資がピークアウトしてから設備投資が上昇するといった形になっています。これが景気の回復力が弱かった原因ともなっています。
- 設備投資を見る場合、もう1つ重要なポイントがあります。それは設備の「古さ」です。この設備の「古さ」をvintage(ヴィンテージ)といいます。古い機械は生産性が落ちますから、時がたてば買い換え需要がおこります。現在の設備投資ブームは2004年ごろから始まりましたが、この背景には以下の原因があると思います。第一に「バブル経済」の崩壊以降、不良債権処理に追われる中、需要の減退により需給ギャップが拡大し、設備投資が手控えられていたことが挙げられます。時の経過とともに金融機関の不良債権処理も一段落し、企業の人員削減や経営資源の「選択と集中」が進み、日本経済が正常化への道を進み始めたことで、これまで手控えられてきた設備投資の更新や拡充が行われていますが、古い機械の更新も今回の設備投資ブームの背景にあると思います。
- 今後の日本経済の動向ですが、景気がさらに長期の拡大をするかどうかは次の景気のブースターエンジンである個人消費が出てくるかどうかにかかっていると思います。現在、戦後最長の景気の拡大が続いていますが、設備投資の拡大が続くうちに次の個人消費に火がつけば、さらに息の長い景気の拡大になると思います。
- 掲載日:2007年8月22日
- 永野 満(ながの・みつる)
- 1948年、鎌倉市生まれ。一橋大経済学部卒。大和証券に入社し、アナリストを務めた後、ファンドマネージャーとしてアブダビ投資庁でオイルダラーを11年間運用する。
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