株式 [ 企業を知るには製品から ]

- 味の素の100%子会社、味の素冷凍食品の「ギョーザ」は根強い人気を誇るロングセラー商品だ。2006年度の売り上げは2002年度の倍の100億円(同社出荷ベース)。家庭用冷凍食品(単品)でこれだけ売り上げがある商品は他にないという。まさに日本一の「ギョーザ」なのだ(「2006年度冷凍食品ギョーザ類売上」味の素冷凍食品調べ)。消費傾向が多様化する中、半年に一度、中身や皮、焼きに改良を加え、ファンを確実に増やしている。変化しながらも、目指すのは変わらない「お母さんの味」だ。

味の素のギョーザ。油なしでパリッと焼ける
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2000年から「ギョーザ」の大幅改良に着手
- もともと「ギョーザ」は1972年、味の素の冷凍食品事業のスタートから販売している看板商品。2000年に味の素の冷凍食品事業が現在の味の素冷凍食品として分社化したのだが、この時に、これからの事業の柱となる商品として「ギョーザ」が選ばれた。当時、売り上げとしては「エビシューマイ」が勝っていたが、「ギョーザ」の方が認知度も高く、食卓にあがる機会が多いという理由からだ。
- ここから2003年に向けて大々的に売り出すために、「ギョーザ」の大幅改良を行なうことになった。

開発を担当した吉野正二さん
- 「販売当初から2002年までは『パリッと焼ける』以外は大きく変わっていないんです。そのため、『ギョーザ』の美味しさにかかわるすべての要素からマーケティング戦略まで見直すことにしました」と同社マーケティング本部家庭用事業部商品開発グループマネージャーの吉野正二さん。
- 2003年に発売した「ギョーザ」は、中身、皮、焼きに大幅な変更を加えたものになった。特にこだわったのは中身を包む皮だ。
- 「小麦粉の種類を変えるなど様々な工夫をして、ふっくらと仕上がるようにしました。製造装置も新しく作り直したので、この皮の完成には約2年かかりました」。
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2006年に中身を鶏肉から豚肉に替える
- 味の素冷凍食品は、2003年以降、半年に一度「ギョーザ」の改良を行なうようになった。新しい魅力を加えていくことで、これまでのファンを飽きさせず、新規のファンを獲得するという狙いだ。
- 次に大きく変わったのは2006年度バージョンの「ギョーザ」。鶏肉ベースだった中身を豚肉ベースに取り替えるという大胆なものだ。
- 「今までの『ギョーザ』はどこにでもある普通の味でした。それでも支持を得ていたのですが、食卓のメインになるような本格的な味を実現したらもっと多くの方に食べていただけると確信がありました。そこで、より本格的なギョーザを作ることにしたのです。そもそもギョーザは何から作られるかを考えると、鶏肉ではなくて豚肉。それならば豚肉を使用しよう、ということで大幅に原料と味の改良をしました」。
- 新しく改良した「ギョーザ」は「今までと味が違う!」という声が多く寄せられたという。前の方が馴染みがあって良いという客もいたが、大半は「おいしくなった」と評判は上々、売り上げも大きく伸びた。
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味とプロモーションが生み出した年間100億円
- 味を変化させ、テレビCMにSMAPの香取慎吾さんを起用し全国規模でプロモーションを展開したことで、2006年度(2006年4月〜2007年3月)には100億円の売り上げを達成。同社の2006年度の冷凍食品の総売上1100億円のうち約9%を「ギョーザ」が占めるまでになった。
- 「スーパーの店頭で一番端の目立つ場所に売り場を確保するため、営業面でも頑張りました。しかし、会社として『ギョーザ』を全面的に売り出して行こうという戦略がぶれなかったことが100億円を達成する一番のポイントだったのではないでしょうか」と吉野さんは分析している。
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年間7億2000万個を作る大変さ
- 現在、「ギョーザ」は、群馬、佐賀、岐阜の3つの工場で作られている。月産にして約500万袋、年間で6000万袋、餃子の数で言うと1袋12個×6000万袋で、7億2000万個を生産していることになる。生産量が多いだけに使用する原料の量もハンパではない。原料には豚肉、キャベツ、にんにく、にら、たまねぎなどがあるが、特に生鮮モノのキャベツの仕入れは大変という。
- 「キャベツは、春先は宮崎、夏は長野と季節ごとに産地が北上していきます。天候で生産量が左右されるので、量が確保できるか常に心配しています。また、産地や時期が変わればキャベツの味も変わるので、実はギョーザの味も時期によって微妙に変化しています。しかし、これに気づくお客さまはほとんどいません(笑い)」。
- 半年に一度の改良についても、さまざまな苦労があるという。月産500万袋の生産量をキープしながら、商品に手を加えていかなければならない。「製造装置を変えるような大掛かりな変更は失敗するわけにはいかないので、お客さまの声を分析し、専門の評価機関にアドバイスをもらうなどして、改良が確実に結果につながるようにしています」。
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2007年度版は「焼き」を改良

パリッと焼きあがったギョーザ
- 2007年度版の「ギョーザ」の味は好評だった前年と同じ。主な改良点は「焼き」の部分で、工程を見直し、フライパンを使って約7分でキレイに焼けるようにしたという。
- 「油なしでパリッと焼けるというのがこの『ギョーザ』の特徴でもあるのですが、初めてご購入した方の中には上手に焼けない場合があることが分かったのです。味の素のマヨネーズ事業からアドバイスをもらうなどして約1年間研究した結果、『ギョーザ』の焼き面に水と油を乳化させ、でんぷんや卵白を加えたものをつけることで、油なしでパリッと焼けるようになりました」。これによって、初めてパッケージにフライパンで、7分で焼けると表示できるようになった。
- 「ギョーザ」をよりおいしそうに見せる工夫など、さまざまな改良点はあるが、最終的に目指すのは「お母さんの作る味」という。
- 「2006年の大幅な変更で、家庭で手作りしている味に近づきました。それが、お母さんが作らなくても“味の素冷凍食品の『ギョーザ』があるじゃない”ということになり、販売増につながりました。これからも、忙しいお母さんの味方になっていきたいですね」。
- どんどんおいしくバージョンアップしていく「ギョーザ」。今後の進化が楽しみだ。
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味の素の2007年4−6月期の連結業績をみると、売上高が前年同期比8.1%増の2988億2300万円、経常利益が同37.1%増の148億7100万円、純利益は同138.9%増の86億4700万円だった。国内食品事業で「ギョーザ」などの冷凍食品やコーヒー類の売り上げが堅調、海外で「味の素」が伸びた。医薬事業も大幅な増収増益だった。同社は07年10月1日付でカルピスを完全子会社化した。
(QUICK MoneyLife)
- 掲載日:2007年10月30日
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